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ぶらり炭鉄港WEB版【Vol.5 小樽から見た炭鉄港】

皆さんこんにちは。もう夏物の服はしまいましたか?

では、本企画の後半戦にあたる第5回目「小樽から見た炭鉄港」をお届けします!

今回は、空知を飛び出して、小樽を紹介したいと思います!

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前回までのぶらりの様子はこちら。
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小樽の歴史のスペシャリスト!

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小樽市総合博物館館長の石川直章さんです!

今回は、石川館長に小樽の話をたんまりお伺いした後に、私と協議会職員S(44歳・女性)とぶらつきたいと思います!


日本遺産に認定されるために…

《石川館長》
日本遺産への認定にあたり、旧手宮鉄道施設(機関車庫三号)が重要な意味を持つのですが、それが何か分かりますか??
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――日本最古の機関車庫であることですか?

《石川館長》
違います。実は文化庁へ申請するためには、構成文化財の中に必ず1つは国指定の重要文化財、又は史跡などが含まれていないといけないのです。


――ということは、機関車庫三号がなければ5月20日のあの感動は無かったということなんですね!

《石川館長》
そういうことです。「炭鉄港」の肝と呼べる施設であり、これ自体も文化財として素晴らしいモノです!ちはみに、冬は除雪をしていないので、雪のない時期に来てください!


市民にとっては生活道路。

――次はどんなオススメスポットがありますか?

《石川館長》
機関車庫三号にも通じているのですが、日本遺産構成文化財の「手宮線跡地」です!

「北海道で最初の鉄道」という価値はもちろんですが、手宮線が複線であったために、片側を散策路として整備し、もう片側はレールがそのまま残っているところに特徴があるんですよ!
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――廃線後はよくサイクリングロードに転用されることが多いですよね。

《石川館長》
そうなんですよ。ここで面白いのが、市民の方は散策路を歩くのですが、観光客の方はレールの上を歩くんですよ(笑)


――レールの上を歩く機会はなかなかないですからね~

《石川館長》
手宮線跡地を基軸に脇道に入っていけば、歴史的建造物だけでなくお気に入りの飲食店や雑貨屋なども見つかると思いますよ!

ちなみに、私がオススメするのは、小樽駅から徒歩10分の所にある「友和のパン」です!ここは、ショーケースに陳列しているパンを注文する昔ながらのスタイルのお店で、小樽でもこうしたスタイルのお店が残っているのはわずかなんですよ!
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頂いたカツカレーパンは、サクサクのカツに懐かしい感じのパンがベストマッチです♪
 

廣井勇はかなり凄い

――突然ですが、「小樽」と言ったら、何を思い浮かべますか?

(職員S)
小樽運河…。


――…当たっちゃった。その運河建設に深く関わった方で、小樽の歴史を語るうえで欠かせない方を紹介してもいいですか?

(職員S)
どうぞ。


――「近代土木の父」と言われる廣井勇博士です!
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――散策路で話すのもアレなんで、「みなとの資料コーナー」に行きますか。

なお、「みなとの資料コーナー」はJR小樽築港駅から徒歩5分の所にあります。

■ココ凄ポイント①
 100年以上現役で使える防波堤を作ってしまった。


炭鉄港の構成文化財の中で最長の建造物「小樽港北防波堤」を建設したのが、廣井勇博士なのです!

波を研究し、コンクリートを研究し日本人技師として初めて本格的外洋防波堤の建設を成功させる偉業を達成したのです!しかも建設から100年以上経った今でも現役で活躍している…

防波堤の強度を上げるためコンクリートブロックが傾いているのも研究の賜なんですよ!
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ここで、北防波堤を眺めるオススメスポットを紹介しておきます。

まずは、北側から…
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「手宮緑化植物園」からの眺望

次は南側から…
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「平磯公園」からの眺望

ちなみに、毎年海の日に開催される「マリン・フェスタin小樽」で、北海道開発局港湾業務艇「ひまわり」による体験乗船が行われておりますので、北防波堤を間近でご覧になりたい方はオススメです!

■ココ凄ポイント②
 机の引き出しにチャカ(ピストル)を忍ばせていた。


廣井博士は、北防波堤に並々ならぬ覚悟をもって建設に当たったといわれております。その現れとして、机の中にチャカ(ピストル)を忍ばせ防波堤建設に命を掛けていたことがうかがえます。

※現在は銃砲刀剣類所持等取締法(通称:銃刀法)第3条の規定により正当な理由なく銃砲を所持することは禁じられております。

■ココ凄ポイント③
 防波堤の中に強烈な「炭鉄港」を残していた。


北防波堤は、巨大なコンクリートブロックを斜めに積み上げていく構造となっています。そのコンクリートブロック同士を連結する鉄骨が実は…

北海道最初の鉄道「幌内鉄道」の開業当時のレールが使われているのです!!!

しかも現存しているレールは、ここだけなんです!!


実は、海中にあるはずのこのレールを実際に見ることができるのです!

北海道開発局小樽開発建設部小樽港湾事務所に併設されている「みなとの資料コーナー」の敷地内にひっそりと佇んでいるコンクリートブロックがあります。

このブロックは、北防波堤建設により漁船が大きく迂回せざるを得なくなったためため、ショートカットできるように、防波堤の一部を切り取ったモノです。
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近づくと…がっちり刺さってます。
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ちなみに、「みなとの資料コーナー」は小樽の港湾に関する歴史資料を無料で見学できますので、北防波堤に興味を持った方は是非ご覧下さい!

開館は、平日の9:00から16:30(12:00から13:00までを除く)までです。


見た目たこ焼き。でも菓子。ぱんじゅう。

――小樽の炭鉄港グルメといえば、やはり「ぱんじゅう」でしょうか?

《石川館長》
そうですね。明治時代に東京で作られたモノがぱんじゅうの起源で、その後東日本で大流行したのですが、今川焼きの人気に押され徐々に衰退していきました。


現在残っているのは、小樽に3軒と夕張に1軒と札幌にある小樽の支店だけとなっています。これは産炭地と港を結びつける証といっていいと思います。

――そ~なんですね~。

《石川館長》
なぜ、小樽でお菓子作りが盛んだったか分かりますか?


――分からないです。

《石川館長》
港町だったことからお米、砂糖や小豆が容易に入手できたことが大きな要因なんですよ。


――まさに炭鉄港の「港」ですね。早速食べに行きましょう!

【桑田屋本店へ移動】

場所は、小樽駅から徒歩10分の所にある「小樽運河ターミナル」の1階です。
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実食!
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見た目、サイズ感は、まさにたこ焼きです。
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外はカリカリで、噛むともっちりとした食感です!一番人気の「こしあん」はしつこくない甘さが特徴です!

チョコやクリーム味もあるので、子供にもオススメです!


さすが小樽。市場の中まで傾斜あり。

《石川館長》
小樽にお越しの際に是非立ち寄っていただきたいのが、日本遺産構成文化財の「小樽中央市場」です!

ここの魅力は、なんと言っても日本遺産構成文化財の中で普通に買い物ができちゃう所です!

日本遺産に認定されている市場の中で、現役の市場は小樽だけだと思います!


――小樽市民の方の生活に根付いているんですね~。

【小樽中央市場へ移動】
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――気づきました?

(職員S)
何が(怒)


――市場自体傾斜がついてます。

(職員S)
ホンマや。さすが坂の街。でも写真では伝わらないね~。


――これは来てみないと伝わらないですね~。

(職員S)
現役の市場でありつつ、これまでの歴史をちゃんと伝えているところが素晴らしい!
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奇跡の4分の3

《石川館長》
建築に興味がある方に是非とも見ていただきたいモノを紹介します。

「工部大学校」ってご存知ですか?


――大学ですか??

《石川館長》
現在の東京大学工学部の前身の一つです。その第1期卒業生が4人いるのですが、全員の名前分かりますか?


――ん~。え~~~~~と。分かりません。

《石川館長》
辰野金吾、曽禰達蔵、片山東熊、佐立七次郎です。この4人のうち3人の建築物を見ることができるのは、東京以外では小樽だけなんです!

代表的な建物をあげると、辰野が「日本銀行本店」、曽禰が「慶應義塾大学図書館」、片山が「赤坂離宮」、佐立が「会計検査院」などがあるんですよ。

しかも、現存する佐立七次郎の作品を見ることができるのは、小樽だけなんです!


このことからも、いかに小樽が近代建築、西洋化された建築の中で特筆すべき街であるかをうかがい知ることがきます。

■旧日本銀行小樽支店(現:金融資料館)【辰野金吾】
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■旧三井銀行(現:小樽芸術村)【曽禰達蔵】
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■旧日本郵船小樽支店(現在工事中)【佐立七次郎】
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「小樽のお土産」=「ガラス」の謎

――小樽のお土産といえば、真っ先に「ガラス製品」というイメージが定着していると思うのですが、その理由は何ですか??

《石川館長》
実は、ハッキリとした答えがわからないんですよ。


――そうなんですか(驚)

《石川館長》
北海道のガラス産業は、小樽に限らず釧路、函館や留萌などの漁業が盛んな地域において、北洋漁業の「浮き球」として製作されていました。

小樽においてのガラス産業が発展するきっかけとなったのは、「北一硝子」さんです。


――老舗の硝子店ですね。
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《石川館長》
1970年代に小樽運河を埋め立てる計画が持ち上がり、反対派と賛成派の通称「運河論争」が起こりました。

当時のマスコミもこの論争を取り上げたため、多くの観光客が小樽を訪れました。

そこで、観光客のお土産として人気だったのが北一硝子の小さなランプだったのです。


――なぜ、ランプだったのですか??

《石川館長》
当時は既に実用品としてのランプの需要はほとんどなく、教科書でしか見たことがない人も多かったのですが、小樽では船で使われていたランプを小型化したことで小樽のお土産としてヒットしたんです。
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その後、様々な商品が開発され小樽のお土産として定着したようです。

――小樽だけで硝子が定着したのは不思議ですね~。


北海道民なら誰でも知ってるあのCM

――石川館長のオススメじゃないんだけど、個人的に行きたいところに行っていいですか?

(職員S)
炭鉄港と関係あるの(怒)?


――奇跡的に関係あるのさ!

(職員S)
どこ(怒)?


――奥沢水源地!小樽の老舗「かま栄」のかまぼこのCMのアレです!

炭鉄港のストーリーと平行して、小樽では社会基盤の整備が進んでいきましたが、中でも小樽の水道は、北海道で3番目の水道として、1914年に給水を開始したんですよ。


(職員S)
は~。ここにも炭鉄港か…
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――紅葉と10段の流れ…癒やされるわ~

あっ。今年はもう見られない。。。
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あとがき

――小樽は空知とは違って、平日でも観光客が多かったですね。

(職員S)
そだね~。小樽は、「炭鉄港」の他に「北前船」でも日本遺産に認定されているから、数多くの歴史的建造物が残ってるね~。


――多いこともそうだし、何より地理的にも歴史的建造物が密集してますね。

(職員S)
うん。


――さすが北海道を代表する観光地ですね。

(職員S)
うん。 


――「小樽運河を半分埋め立てた」って長さを半分にしたと思ってたけど、幅を半分にしたんですね。

(職員S)
おどろき~~!
(ikko風に)

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次回は、感動の最終回です!炭鉄港の「鉄」をお届けします。

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