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ぶらり炭鉄港WEB版【Vol.1 鉄道で繋ぐ炭鉄港】

突然ですが、「炭鉄港」を覚えて頂いたでしょうか!?

まだ、覚えてない方のために、ものすごく簡単に説明すると…

空知の石炭、室蘭の鉄鋼、小樽の港湾とそれらを繋ぐ鉄道を舞台に繰り広げられた、北海道の近代化の物語です。

活字が苦手な方は、「ぶらり炭鉄港」と題して17分の動画でその魅力を紹介しておりますので、とりあえずご覧下さい。
この動画で全てのストーリーを紹介することは恐らく無理だと思いますので、「炭鉄港」に少しでも興味を持ち、訪れる際の参考になったらいいな~と考え「ぶらり炭鉄港WEB版」を企画してみました!

少しでも、分かりやすく伝えるために助っ人の力を借りることとします。

案内役はこの方!!!

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石川 成昭 さんです。
石川さんは、NPO法人炭鉱の記憶推進事業団理事で北海道鉄道観光資源研究会のメンバーに加え、土木学会の選奨土木遺産の選考委員でもある方です。まさに「ザ・炭鉄港」の石川さんと巡るぶらり炭鉄港の第1回目は「鉄道で繋ぐ炭鉄港」です。

鉄道だけに鉄分濃い目の内容でお届けします。


MISSION1 保存状態最高の蒸気機関車の名脇役を探せ!

炭鉄港を知る上で欠かせないのが、「鉄道」です。石炭をいくら掘り出しても、それを必要としているところに運ばなければいけません。

その運搬を担ったのが「鉄道」もっと言うと「蒸気機関車」なのです。

今では走っている姿を見ることはほとんど見なくなりましたが、石炭運搬をしていた当時のままの保存状態の蒸気機関車があるそうなので、探しに行ってみたいと思います!

■『道の駅あびら D51ステーション』にあるそうです。

『道の駅あびら D51ステーション』は、2019年4月にオープンした北海道で124番目の道の駅です。

連日多くのお客様で賑わっているので、皆さんご存知の…

日本遺産構成文化財の「蒸気機関車D51 320号機」です!
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今年は残りわずかですが、4月から10月までの月2回程度の日曜日に蒸気機関車の屋外展示も行っているので、是非青空の下で見てみたいものです!

《石川さん》
屋外の撮影は朝早めの時間が良いです!


――どうしてですか?

《石川さん》
車両の先頭が北東向きなので、午後は逆光になるからです。


――がっ~
しかし、今回紹介したいのはD51ではありません。それは彼です!
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(奥にちょっと写っているのが、D51です。)

――彼は誰ですか??

《石川さん》
D51を車庫から出し入れする機関車でなんと今年で50歳!しかも現役で動いているんです!!正式な名前は「10t動機」くん、陰でD51を支えているんです!こちらも隅々まで手入れが行き届いた名脇役なのです。


――は~、不思議な名前ですね!

《石川さん》
ちなみに、『D51』の『D』ってどういう意味かご存知ですか?? 


――…Doraemon? Doramichan? Suneo?

答えは、後ほど!

次に、ご紹介するのがこちら!
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――ただの注意書ですよね!?

《石川さん》
蒸気機関車の手入れというと、どうしても可動部に集中しがちですが、このD51はボディーを「油ぞうきん」で磨いているので、この注意書きが必要なのです。


――なるほど。これが保存状態最高の蒸気機関車の証しということなのですね。

《石川さん》
D51にまつわる少し切ないストーリーがあります。ここに展示されるはずだった蒸気機関車…実は…
『D51 320』じゃなかったんです…


――てぃ?それはどういうことですか!?

《石川さん》
火災は怖いです…これ以上しゃべると涙が出てくるので、続きはD51ステーションでご確認ください。


――(涙)悲しい歴史ですね。

さて、D51ステーションでは「もくもくD51ソフト」が大人気ですが、鉄分薄めの方にも是非とも手にとって頂きたい(できれば買っていたただきたい)のが、こちらです!
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『JR北海道駅名標キャラメル』です!
北海道の全410駅の駅名がデザインされたキャラメルです。1個に5駅分が表示されているので、全部集めると…鉄分以上に糖分取り過ぎになるかも。撮影している最中に、隣から3個鷲掴みした女性が印象的でした。

道の駅を後にして、次の目的地に行く前に押さえておきたいスポットを挟んでおきます!
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道の駅から空知方面に国道234号線を700メートルほど車を走らせると、左手に見えてくるのが『COFFEE STAND Sieste(シエスタ)』です!
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シエスタさんで紹介するのがその名も『「D51 320」ブレンド』です!安平愛が止まりません!

D51のある道の駅ができることをきっかけに、お店で特別にブレンドし、まるでデゴイチのボデーの様に深くコクのあるコーヒーです!

お近くにお越しの際は、是非ご堪能下さい!
 

MISSION2 令和の時代に溶け込んだ炭鉄港を探せ!

《石川さん》
次の目的地は、岩見沢市栗沢です!


日本遺産というと、どこか廃墟的なイメージを持たれる方も多いかも知れません。しかし、時代の経過とともにその用途を変えて末永く活用されているものも少なからず存在します。

――え!そうなんですか?

《石川さん》
その一つが、こちらです!
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――これはなんですか??

《石川さん》
ここはJR栗沢駅前にあるレンガ造りの倉庫です!

かつては、駅舎ごとにこのような倉庫があり、玉ねぎやジャガイモなどの農産物を集荷、貯蔵して、鉄道で輸送していたんですよ~。


――ずいぶんと古い建物ですが、いつ頃に建てられたものなんですか?

《石川さん》
コンクリートの柱のないレンガ倉庫は、恐らく明治~大正期に建てられたと思います。ちなみに、現在はJAいわみざわの倉庫として活用しているんですよ。
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MISSION3 人気先取り!パーキングエリア直結のズリ山を探せ!

時間(大人)の都合上、岩見沢市から沼田町へは高速道路で北上します。

《石川さん》
実は、この区間のパーキングエリアに直結しているズリ山があるのをご存知でしょうか!?


――えっ!それはズリませんでした!

《石川さん》
巷では、パーキングエリア直結の温泉や道の駅が話題となっておりますが、ここ空知ではパーキングエリア直結のズリ山が存在するのです!


――直結…

《石川さん》
それがあるのは、美唄市の「茶志内パーキングエリア」です!
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パーキングの左側にある屋根付きの階段を降りた目の前にある丘が、三菱茶志内炭鉱(旧日東美唄炭鉱)のズリ山です!

時間の経過とともに、ズリ山は緑に覆われていますが、近づいてみると確かに選炭で残った石炭(ズリ)があります!

「時間が無いけど、どうしてもズリ山が見たい!!」という方向けのレアなスポットです!
ちなみに、JR茶志内駅からパーキング方向に斜めに伸びる道路は、茶志内炭鉱専用鉄道の跡です。


MISSION4 無骨でかわいらしいレア機械を探せ!

■でも、めっちゃ腹へりんこ!

一気に沼田町まで北上したところで、昼食休憩です。

実は私…無類のそば好きです。毎昼そばが食べたいくらい好きです。

ということで立ち寄ったのが、ほろしん温泉にある『そば処明日萌(あしもい)』さんです!
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コシのあるそばにだしの効いたつゆがベストマッチ!!非常においしいです!

そば湯を入れて、全部飲み干してしまいました!

■『昔鉄道、今水道。』

まず、本丸を攻める前に沼田町を走っていた留萌鉄道の跡を間近に見ることができるスポットを紹介します。

《石川さん》
まず口に出してこの言葉を言ってください!

『昔鉄道、今水道。』


――『昔鉄道、今水道。』

《石川さん》
それが、こちらです!
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《石川さん》
沼田市街地からほろしん温泉に向かい、温泉の直前の橋の上から見ることができます。

線路を支えていた橋脚は、現在は水道管を支えています。これが『昔鉄道、今水道。』の正体です。

『昔鉄道、今水道。』ちなみに、同様の橋脚がSLの数百メートル上流にもあるのですが、急な踏み跡を入るので、それでもという方のみ探してみて下さい!


■国内で数台…

《石川さん》
いよいよ本丸のレア機械を紹介したいと思います!

その機械は、日本遺産構成文化財の「クラウス15号蒸気機関車」の後ろでひっそりと佇んでおります!
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――大きさといい、形といい…「めんこい」という言葉がぴったりです!

《石川さん》
しかも…
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――ぬっ!?
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激レアさん登場です!!

《石川さん》
あびらのD51同様に車庫の出し入れに活躍しているのです。

クラウスの横には入館無料の「炭鉱資料館」があり、昭和炭鉱の歴史を分かりやすく学ぶことができますので必ず立ち寄ってください!無料ですから!

さて、本命の「クラウス15号」は、ドイツのクラウス社で製造され、1889に九州鉄道に輸入され、1925年に東横鉄道(現東急電鉄)に移り、1936年に沼田にやってきました。輸入して今年で130年(おめでとう!)、小型のSLでは我が国現存最古です。
こちらも車庫から出し入れしているので、車体はピカピカです。
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■せっかく行ったら、よってって~

《石川さん》
沼田町にお越しの際に、是非寄ってほしいオススメの写真スポットあるんですよ~。

それがクラウス15号を所有していた留萌鉄道本社の社屋です!

恵比島駅のホームからも煙突は見えますが、駅裏の農道から畑越しに見える様が印象的です。
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――「ポツンと一軒家」的な佇まいですね。

《石川さん》
ちなみにこれが当時の様子です。煙突と屋根の落ちた建物が残ってますね~。
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《石川さん》
デデン!!!
ここで、クイズです。


――ここでですか!?

《石川さん》
鉄道関連のもので、北海道では沼田町一カ所にしかないものは何でしょう??
ヒントは、踏切に関することです。


――ん~ めっちゃホタルが付着してる遮断機がある!!!

《石川さん》
ん~惜しくないっ!!
正解は、北海道で唯一、国道と鉄道(JR)が交差する踏切があるのです!
国道の踏切は各地にありましたが、次々と立体交差化され、今や沼田町だけになりました。


――Wonderfull!!

《石川さん》
国道275号の沼田町役場の東500mで見ることができます!

 

MISSION5 「え~!昨日までじゃ~ん!」を探せ!

鉄道ファンならずとも、この写真を見たことがある方は多いのではないでしょうか!?
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そうです!日本遺産構成文化財の「旧三井芦別鉄道炭山川橋梁」です!

まるで、採炭全盛期までタイムスリップしたかのような光景ですね~

でも、もう少し間近で見たいな~なんて考えていたら…
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午後4時まで、ギリギリ展望広場から見ることができました。(汗)
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でも、ごめんなさい!展望広場まで通行できるのは昨日(10月14日)まででした…来年も開いていたら是非見に来て下さい!

今は国道452号の炭山川橋の上から、橋の全景と共に見ることができます。
 

MISSION6 蒸気機関車の違いを探せ!

最後に紹介するのが、日本遺産構成文化財の「美唄鉄道東明駅舎」「4110形式十輪連結タンク機関車2号」です!
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《石川さん》
これまで、安平町の蒸気機関車D51 320号機と沼田町のクラウス15号蒸気機関車を紹介しましたが、これら3台の決定的な違いがわかるでしょうか?? 
写真を見返しても分かりませんよ~


――好みの石炭が違う!?

《石川さん》
ん~惜しくない!(苦笑)正解は動輪(機関車を駆動させる車輪)の数です!


沼田町のクラウス15号は片側2輪。
安平町のD51 320号機は片側4輪。
ちなみに、D51の「D」はA・B・C・Dで4輪であることを示しています。
そして、美唄市の4110形式十輪連結タンク機関車2号は片側で5輪。つまり10輪駆動(自動車なら10WD)ということになります!
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美唄鉄道では、急勾配に対応した蒸気機関車が必要だったことから、ドイツの機関車をモデルに日本で製造され、本州の急勾配区間で実績のあったこの形式が導入されたのだと思います。
その中でもこの2号は、1919年に三菱造船が最初に作ったSLで、今年で100歳を迎えました(おめでとう!)。
余談ですが、国鉄(現:JR)の蒸気機関車最後の定期旅客列車は、1975年12月14日、室蘭から岩見沢を走った牽引した「C57 135」です。「C57」は、A・B・Cなので、動輪が3輪ということになります。


あとがき

――いや~走りましたね~

《石川さん》
「ぶらり」というより「ぶっとび」でしたね。


――これを掲載したら、今週末「炭鉄港」を巡ってみたくなる方が結構おられるのではないでしょうか!?

《石川さん》
安平町から沼田町までは直線距離でも100キロ以上ありますし、このエリアの「炭鉄港」の鉄分は、このほかにもまだまだありますので、鉄分補給をしたい方は2・3日かけてじっくり見て回ってほしいと思います。


――私もそう思います。丸一日石川さんとご一緒させていただいた感想を言って良いですか?

《石川さん》
はい。


――鉄道知識の~洪水警報や~~

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来週は「立坑櫓だけが炭鉱じゃない」と題して、炭鉱女子とぶらついてきます!

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