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【ソラチコーヒー 6杯目】 エスプレッソでソラチコーヒー

おいしいコーヒーのある日々を通じて、空知の魅力をゆる~く発信するソラチコーヒー。

おうちで自分で淹れるコーヒーももちろん美味しいのですが、プロの淹れる極上の一杯は、新たな発見やひらめきを与えてくれることも多いと思います。
そして空知は今、雪とコーヒーがよく似合う季節。冷え切った体をほっこり暖めるコーヒーを探して、不定期になりますが、空知でコーヒーに関わる人たち(=ソラチコーヒー人)を紹介していきたいと思っています。

そのお一人目は、岩見沢駅からほど近い商店街に今年3月にオープンしたESPRESSO STAND PLATS(プラッツ)の片山順一さんに、カプチーノを飲みながらお話を伺いました。
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片山さんと空知、そしてPLATSのルーツ

片山さんの生まれは、空知管内の深川市。幼少期を道内で過ごした後、10代を東京、20代前半を中国、後半をイギリスで過ごし、2011年に31歳で空知にUターンし、空知を舞台に仕事を続けてきました。

PLATSは、片山さんが経営する冬春創社の地方活性化事業の第一弾として今年の3月に岩見沢駅から徒歩5分の駅前商店街にオープンしました。冬春創社を今年1月に立ち上げる前は、片山さんは、砂川市内の福祉事業所に勤務しながら、海外経験を活かして砂川観光協会で外国語ボランティアとしても活動され、現在も理事に就任されています。
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片山さんにPLATSをオープンした経緯からお聞きしました。
―なぜ、岩見沢でエスプレッソコーヒーを?
「イギリスで生活していた頃、Café NERO※というお気に入りのコーヒーショップがありました。カフェモカが美味しくて、仕事に行くときや遊びに行くときなどいつも飲んでいました。そういうコーヒーが飲みたいという思いが強く、エスプレッソの濃いコーヒーとカカオの酸味が絶妙に混ざり合ったコーヒーを空知で提供したいと思い、エスプレッソを提供する店にしました。普通のドリップコーヒーではなかなか出せない味ですよ。」
 ※Café NERO(カフェ・ネロ)
 イギリス本土でチェーン展開をしているカフェ御三家のひとつ。「コスタ」「スタバ」に続く第3位の店舗数を持ち、ヨーロピアン嗜好のコーヒーファンからは高い評価を得ている。

―エスプレッソの魅力は?
「ハンドドリップにはハンドドリップの良いところがありますが、人によって入れ方も結構違いますし、技術を伝えるのもなかなか難しいと思っています。早く、安定して、美味しく出せるのはハンドドリップよりもエスプレッソタイプですね。」
「また、エスプレッソでしか出せないコーヒーもたくさんあります。9気圧をかけて抽出したからこそコーヒー豆からギュッと詰まったコーヒーのエキスが油分も含めて抽出できます。それをアメリカーノで飲んだり、ラテで飲んだり、チョコレートを入れてモカにしたり…。ストレートで砂糖を入れて飲むのもお勧めしています。自分のお気に入りにアレンジできるのも、エスプレッソの楽しさでもありますよ。」
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―技術を伝えるという話も出ましたが、将来的にはどのような展開を?
「将来的には、多店舗化のドライブスルーをめざしています。今ではドライブスルーというのはコロナの影響で当たり前になってきましたがドライブスルーで手軽に飲めるエスプレッソコーヒースタンドを地方にも作り、都会に住む人だけでなく地方に住む人にも、一人でも多くの方にエスプレッソコーヒーを届けたいと思っています。」

たしかに、今でこそコンビニでもドリップコーヒーを気軽にテイクアウトできるようになりましたが、エスプレッソをいろいろアレンジして手軽に…となるとまだまだ空知エリアでも少ないですね。

PLATSでは、ブレンド(苦みとコク)、パナマ(甘い香りとコク)、エチオピア(フルーティー)、コスタリカ(酸味ライト)の4種の豆を選んでエスプレッソベースのコーヒーをいただくことができます。この日の私は、パナマをカプチーノでいただきました。自分の好みやその日の気分?!を片山さんにお伝えすると、あなたにぴったりのオススメを選んでいただけると思いますよ!
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甘い香りとコクと温かさを泡で緩やかに保ちながら、外の雪を見ながらのんびり飲むのにはカプチーノはぴったりでした。

片山さんは、かつてロンドンの日本料理店で働いたことが飲食業のベースになっているといいます。当時は焼き物や揚げ物の担当をしていたそうですが、帰国後は、砂川市の福祉事業所での仕事の傍ら、パンの製造やカフェの立ち上げにもメニュー作りから関わるなど、市内で4店舗のカフェや飲食店の責任者としても活躍されてきました。

そうした経験から、PLATSではコーヒーだけでなくフードメニューも充実させ、FOOD PLATSとして日替わりでハンバーグやビーフシチューなどの洋食の弁当やピザなどもテイクアウトできます。また、これからの時期にぴったりなオリジナルコーヒーとオーガニックチョコレートのギフトなど、送り手のセンスが光るオリジナルのギフトも超オススメです。
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モーニングからランチタイム、カフェタイムまで通しで営業していますので、仕事の前に、ドライブのお供に、1日の終わりに、休日に…とPLATSでの一杯が、生活をそっと支える存在にとなることをめざしています。―まさにエスプレッソのように凝縮!そして想いはソラチコーヒーと一緒です。

空知に戻るという選択

Uターンのきっかけなども片山さんに伺いました。
―空知に戻ることを決めたきっかけは何ですか?
「イギリスでのビザが取得できなくなったタイミングと当時に、東京から深川市に母が戻っていましたので、できるだけ近くにいて、すぐに会いに行ってあげたいという…親孝行ですよね。」

「空知でこれがしたい!」という具体のビジョンを持って帰郷したわけではなかった片山さんですが、改めて故郷に住んでみて、子どもの頃には気づかなかった空知の魅力や可能性に確信を持つようになっていったそうです。
―帰国直後、30年ぶりの故郷の印象は?
「まず、自然が豊かなことです。10年の海外生活を終えて、夏の北海道に戻ってきて目にした景色は、とにかく眩しくてギラギラしていました。それまで暮らしていたロンドンがコンクリートに囲まれて、湿った雰囲気でしたらからね。」
「沼田町のほろしん温泉に行く途中で見た田園風景の中の夕日、静寂に包まれた漆黒の世界に舞うほたるの光にも衝撃を受けました。住み慣れた人には当たり前でも、私には新鮮で、今までの価値観を180度転換するような出来事でした。」

 
―片山さんが気づいた空知の魅力とは?
「空知の魅力は、四季とりどりの色や光であり、その四季の恵みから育まれた食材です。しかし、その食材もそれを育てる人の力がなければ私たちの手には届きません。そこに住む暖かな人、知恵の人、忍耐の人こそが空知の1番の財産だと思います。」

―空知の雪にも魅力を感じていらっしゃるそうですが。…そういえば社名の冬春創社も「春」でなく「冬」からはじまっていますね。
「冬には豪雪に見舞われる空知ですが、その雪があるからこそ育つ食物があり、その雪に耐える知恵を人にもたらします。大人になった今でも、雪が降り積もると子どものようにワクワクしちゃいます。「冬春創社」の名前には、冬があるからこそ…春が始まる。そんな想いも込めています。」

 
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コーヒーを味わいながら、エスプレッソよりも熱い空知への想いをお聞きして、雪で冷えきった体はすっかり温まりました。

開店直後からのコロナ禍の影響で、売上やパートの雇用、感染対策など経営者としても大変な状況が続いているにもかかわらず、片山さんは、「空知の魅力を世界の人に味わってもらうための準備時間が増えた」と前向きに受け止めているのが印象的でした。

また、今後は多店舗化に向けてドライブスルー対応の充実や農園での仕入れから自家焙煎までの一括管理、さらにはピザ生地や具材の開発なども目指しているそうです。…ソラチピザなんてメニューもそう遠くない未来に登場するかもしれませんね。
そして、11月には空知を舞台に犬が冒険するストーリーの絵本「そらちむらのだいぼうけん」も出版されて、日本全国の書店に並んでいます。
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このコロナ禍で、日々の経営自体も大変だと思いますが、新たなことにどんどんチャレンジしていく勇気と行動力は、空知の外で様々な経験を重ね、その魅力を改めて感じることができた片山さんだからこそできることだろうなと思いました。

エスプレッソをベースにアレンジして、その日の気分でいろんな味わい方を楽しむ―それもソラチコーヒー。スウェーデン語で『空間』や『場所』を意味するというPLATSは、空知の魅力を再発見・再評価し、それを世界中に発信していこうとする想いがあふれる場所でした。
片山さんの言葉の数々は、空知に住む人だけでなく、空知を想い、興味を持ってくださる人にもきっと届くと思いました。


次は、アメリカーノにしようかな。

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