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長沼新酒どぶろく 酔っぱらいレポート

うぃーっす!長沼町地域おこし協力隊の村重でっせ!ちと、酔っぱらっちまいました!うひっ、おっとっと、いえ、もう呑めないすよ、旦那、かんべんしてくだせえ…(って、どこの人?)

というわけで、今回は長沼産「どぶろく」新酒呑みくらべ酔っぱらいレポートです。
 

「どぶろく」を飲んだことありますか?

現代の日本酒の主流は清酒ですが、法律的な定義によると「米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの」で「アルコール度数22度未満のもの」とされています。その「こす」という工程をせず、醪(もろみ=米、米こうじ及び水が原料となって発酵した状態)の状態のまま製品化した日本酒がどぶろくなんです。

ちなみに、こしても濁っている「にごり酒」(目の粗いこし方)もありますが、これはこしてあるからどぶろくじゃなく清酒!(ウンチク、ウンチク)

清酒に慣れた現代人にとってややなじみの薄くなったどぶろくは、そのドロドロした見た目もあってか飲まず嫌いの方も多いのでは?

しかし、素朴な製造過程にもかかわらず、その味わいには米の旨み、甘みはもちろん、フルーティーで多彩な香りを醸し出す日本酒の奥深さが十分に発揮されています。

酒と名のつくものは基本的に何でも来いの私ですが、実は多少の先入観から「ちょっとどぶろくは、ね」なんて正直思っていたわけでした。

でも、今回いろいろ呑み比べてみて、どぶろくの個性の豊かさ、味わいの奥深さに思わずびっくり、認識を改めることとなりました。
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長沼は「どぶろく特区」道内第1号

その昔、農家さんなどでは自家生産されることも多かったどぶろくですが、明治以降酒税法により許可なく醸造できなくなりました。免許取得要件も年間製造量6,000ℓ以上などハードルが高かったのですが、小泉政権時に構造改革の一環として「どぶろく特区」が認められ、長沼町はその道内第1号に指定されました。そんなわけで、「隣り町なら、密造酒」というポスターも!

自家生産の米を使い農家民宿として提供・販売するという条件で、現在町内5軒の農家さんに製造許可が与えられています。新米が出回るこの時期、できたての新酒を購入できた4軒から全部で7種類のどぶろくを呑み比べてみましたよ。
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うまい長沼の米 … だからどぶろくもうまい!

まずは、木村農場さんの「輝陵」(500ml 1,000)から。使用米は「ななつぼし」。「輝陵」はすべて火入れをしない生酒で、瓶内でも発酵がどんどん進むから取扱いや保存に注意が必要。長期保存は不可で、1回の生産量もわずか10数本という単位。

上の写真のように農場入口にどぶろくの赤い旗が立っていたら在庫がありますよという印なので、迷わず購入をお勧めします。味わいはというと、生酒らしいさわやかさに炭酸の刺激が心地よく、辛口でフルーティーな香りと米の旨みのバランスがとても良い感じ。米粒の芯がしっかり残っているのも特徴で、お酒なのにつぶつぶ食感がなんだか楽しい。

木村農場さんでは原料米に「おぼろづき」を使ったものも製造していて、こちらはより口当たりのなめらかなタイプになるそうです。同時には作れないので、もし味比べをしたいなら事前にご相談してみてはいかが?

木村農場(事前に電話で確認してください)
住  所 長沼町東8線北1番地
電話番号 0123-88-4328

次は松村農場さんの「松っちゃんのどぶろく」(500ml 1,000)。原料米はゆめぴりか。こちらも生酒タイプなので、購入は自社直売所までどうぞ。味わいとしては、生酒特有のフレッシュさはありながらも、今回呑み比べた中では一番濃醇辛口なコクを感じ、もし絞ってしまえばそのまま清酒に近づくような印象でした。

しっかりした味わいから、焼き肉やジンギスカンなど肉料理に合わせても面白いのではないかと思いました。生酒ならではですが、購入時、炭酸が抜けるようにキャップに小さな穴が開けられていると教えてもらいました。

松村農場(事前に電話で確認してください)
住  所 長沼町東7線南5番地
電話番号 0123-88-0388

続いて、阪農場さんの「一魂」。「一魂」は原料や麹の異なる多彩な品ぞろえが特徴。今回は自家農場産「ゆめぴりか」使用の普通酒(720ml 1,350)、紅麹を用いた「桃色タイプ」(200ml 390)、もち米「風の子もち」使用の「もち米タイプ」(200ml 390)、酒造好適米「彗星」で醸した「彗星プレミアムタイプ」(720ml 1,650)の4種類をチョイス。

「一魂」の特色は一言で言えば、淡麗スッキリ。普通酒タイプはあっさりとして雑味がなくスイスイと喉を通ってゆく感じ。さらに上を行くのが「もち米タイプ」で、一番さらっとしてくせのない味わい。もち米だからもっちりコクがありそうですが実はまるで正反対でした。紅麹を使った桃色タイプは乳酸味が強くて飲むヨーグルトといった感じ。アルコール度数も低くてお酒の苦手な人にも飲みやすいでしょう。

プレミアムタイプは道産清酒でよく使われる酒造好適米「彗星」を65%まで磨いて仕込みます。米は磨くほど雑味が減り香りが高くなるので清酒の吟醸造りではかかせませんが、一般的にどぶろくではあまり米を磨くということはしません。このプレミアムタイプはいわばどぶろくの吟醸造りで、普通酒に比べるといっそうキリッと輪郭が弾きまった感じの味わいでした。(下の写真は「一魂」を醸造する阪農場のご主人です)
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基本的に「一魂」はどれも火入れタイプなので、冷蔵庫で4カ月ほど持ちます。道の駅やながぬま温泉、札幌駅のどさんこプラザにもあるので一番手に入りやすいと思います。もし生酒も味わってみたいという方は、阪農場さんに相談してみてください。

阪 農 場 (事前に電話で確認してください)
住  所 長沼町西2線北12番地
電話番号 0123-89-2026

最後は、駒谷農場の「雪のまい姫」(150ml 300)。こちらの特徴はどうやらできたお酒をミキサーで滑らかにする製法で、他のどぶろくと違って米のつぶつぶ感は全くありません。味わいも舌触りもネーミングのとおり、やさしく女性的で、米の柔らかな旨みがじんわり口に残るといった感じです。

甘口タイプと辛口タイプの2種類があり、今回は甘口タイプをいただきました。甘口と言っても、甘ったるさとは無縁で、あくまでフルーティーで自然な味わい。長沼町舞鶴地区で農薬や化学肥料を最小限に抑えた栽培米からうまれた豊かな香りとさわやかな酸味が特徴です。火入れタイプですので消費期限に余裕があり、「一魂」同様道の駅マオイの丘公園でも購入できます。

駒谷農場(事前に電話で確認してください)
住  所 長沼町東6線南11番地
電話番号 0123-84-2836

こうやって飲み比べてみると、味の違いはけっこうはっきりしていてそれぞれの個性が感じられます。原料米の違いや生か火入れかといった製法の違いはもちろんでしょうが、作り手のめざす味の方向性が見えるような気がして、面白い。酒飲みの好みはそれぞれ違うものですが、きっと自分に合ったどぶろくのタイプが見つかるはず。

ちなみに今回の私のベストチョイスは、フレッシュでフルーティーでありながらキリッと辛口で旨みのバランスもよかった木村農場さんの「輝陵(ななつぼし)」をあげさせていただくことにします。いやぁ、呑んだ呑んだ!
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こんなものもあるよ

さて、ご紹介した「一魂」の阪農場さんでは、「どぶろくプリン」や「どぶろくゼリー」(どちらも1個290)も生産販売されています。これはアイデアウーマンである阪さんの奥さんが、お酒の飲めない方にもどぶろくを味わってもらえないかと、菓子製造免許を活かして考案された商品です。どちらも、甘さを抑えた大人の味で、ほんのりとどぶろく風味が香るデザートになっています。

お子様向けの甘いお菓子をイメージされるとずいぶん違った印象を受けると思いますが、長沼の名産品としてぜひ一度味わってみてください。ただし生産量が限られていますので、事前の問合せをお勧めします。ちなみにプリンはノンアルコールですが、ゼリーはアルコール度数約3%ありますのでご注意を。

最近、空知ではワイナリーが有名になり、ワインピクニックなどのイベントも大人気。長沼でも、マオイ自由の丘ワイナリーさんが、特色あるワインの生産に力を入れておられますが、米どころ長沼産「どぶろく」もぜひお忘れなく。「どぶろくピクニック」ではありませんが、今回ご紹介した農家さんめぐりをされても楽しいと思います。農繁期でなければ、どぶろくづくりの苦労話が聞けるかもしれませんよ。

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