招かれざる鳥獣を地域資源として活かす「鹿のあんにゃ」
更新日2023.11.02
※岩見沢市東部丘陵地域で活動する藤嶋裕介さん
岩見沢市東部丘陵地域。
かつては炭鉱で賑わっていたこの地域は、山間に広がる田園風景の中で農業も盛んに行われているが、他の農山村と同じく、鹿やアライグマなどの鳥獣被害に晒されてきた。
令和4年5月、この地域の鳥獣対策を担う地域おこし推進員として着任した藤嶋裕介さん。鹿の『あんにゃ』(新潟県の方言で「兄」を意味する言葉)として、地域のために活動する藤嶋さんの取組みを紹介する。
「狩猟に魅かれて」
幼少期より自然や野生動物に対して深い興味を持っていた藤嶋さんは、進学した酪農学園大学でエゾシカに関する研究に携わったことをきっかけとして、狩猟の道へ足を踏み入れることとなった。20歳になると狩猟免許を取得し、岩見沢市在住のハンターに師事して、狩猟の現場に出るようになる。その後、 大学では道内初となる狩猟サークルを起ち上げ、東京大学 や早稲田大学などの全国の大学の狩猟サークルと共同で全国学生狩猟サミットを開催してきた 。
当時の状況を藤嶋さんは「狩猟活動が一部の若者から注目を浴びていた時代でもあり、みるみるうちに学生のネットワークができあがった。」と振り返る。
一方で、コロナ禍もあって下火となった若者ハンターの育成のために、現在は、狩猟に興味のある大学生などを対象とした、鹿の捕獲方法や解体などの見学の受入れや指導を行う講習会を開催し、後進の育成にも力を入れている。
当時の状況を藤嶋さんは「狩猟活動が一部の若者から注目を浴びていた時代でもあり、みるみるうちに学生のネットワークができあがった。」と振り返る。
一方で、コロナ禍もあって下火となった若者ハンターの育成のために、現在は、狩猟に興味のある大学生などを対象とした、鹿の捕獲方法や解体などの見学の受入れや指導を行う講習会を開催し、後進の育成にも力を入れている。
※実際のフィールドで大学生に教えている藤嶋さん
「離島でたった一人のハンター」
大学を卒業した藤嶋さんは、師匠の了解を得て、新潟県粟島浦村の地域おこし協力隊に着任し、初めての土地での鳥獣対策の現場に一人で携わることとなった。
人口約300人の小さな離島には、国内外来種であるニホンジカが200頭あまり生息しているが、自然繁殖により個体数が増加する一方であり、島の植生に影響が出ていることから、全頭駆除する方針となっている。
鳥獣対策を一人で担うこととなった藤嶋さんは、3年間の任期の間に約150頭を駆除。それまで畑が荒らされるなどの被害に島民は遭っていたが、 藤嶋さんの活動により鳥獣被害が軽減されることとなった。活動を間近で見ていた島内のおじいちゃん、おばあちゃんは、藤嶋さんを「鹿のあんにゃ」と親しみを込めて呼ぶようになったという。この名が、協力隊任期後を見据えてつけた個人事業主としての屋号となった。
人口約300人の小さな離島には、国内外来種であるニホンジカが200頭あまり生息しているが、自然繁殖により個体数が増加する一方であり、島の植生に影響が出ていることから、全頭駆除する方針となっている。
鳥獣対策を一人で担うこととなった藤嶋さんは、3年間の任期の間に約150頭を駆除。それまで畑が荒らされるなどの被害に島民は遭っていたが、 藤嶋さんの活動により鳥獣被害が軽減されることとなった。活動を間近で見ていた島内のおじいちゃん、おばあちゃんは、藤嶋さんを「鹿のあんにゃ」と親しみを込めて呼ぶようになったという。この名が、協力隊任期後を見据えてつけた個人事業主としての屋号となった。
※粟島浦村で駆除作業を行う途中の藤嶋さん
「東部丘陵地域の新しい資源」
令和4年5月、藤嶋さんは岩見沢市の地域おこし推進員としてUターンし、地元岩見沢で再び鳥獣対策を担うこととなった。粟島浦村の鳥獣対策との大きな違いは、鹿のサイズだ。重量が100キロを超すエゾシカの駆除を一人で行うことは難しく、複数人での駆除作業となることから、基本的には地域や仲間との協力が欠かせない。
今までの経験の中で「有害鳥獣の駆除と活用の両立は難しい」と感じていた藤嶋さんであるが、地域おこし推進員として地域の方々と関わるうちに、東部丘陵地域の新しい資源開発として鹿肉を扱うこととなり、その結果誕生したのが「蝦夷鹿ジンギスカン」である。
そもそも鹿肉は、牛肉や豚肉に比べて脂質が少なく、とってもヘルシーな食肉であり、栄養価も高い。蝦夷鹿ジンギスカンは、食べやすい大きさにカットして専用のタレに浸したことにより、肉の臭みもなくなり、口にしやすい。タレの種類は3種類(プレーン、ネギ塩、旨辛)あり、今回試食したプレーンは甘めの味付けで、肉はもちろん玉ねぎとの相性も良く、素材の味を引き出すものとなっている。
7月末に東部丘陵地域で開催された「みる・とーぶフェスティバル」では、エゾシカジンギスカン丼として販売し、来場者からも大変好評を得た。
駆除した鹿の活用は、肉だけではなく、角や皮 を使ったものも考えられるが、そこに費やす手間と収入面を考えた時、採算が合うものとなるのは簡単ではない。藤嶋さんはこれからの推進員の任期の中で、有害鳥獣の様々な活用の道を模索したいと考えていると話してくれた。
藤嶋さんの開発した「蝦夷鹿ジンギスカン」は現在、東部丘陵地域の高橋商店とログホテル メープルロッジ で販売されている。また、藤嶋さんの捕獲した鹿肉を使った料理が、岩見沢市内のホテルや飲食店で提供されている。
本来であれば駆除されるだけであったが、地域の資源として活用された絶品の鹿肉の味をぜひ、ご堪能いただきたい。
今までの経験の中で「有害鳥獣の駆除と活用の両立は難しい」と感じていた藤嶋さんであるが、地域おこし推進員として地域の方々と関わるうちに、東部丘陵地域の新しい資源開発として鹿肉を扱うこととなり、その結果誕生したのが「蝦夷鹿ジンギスカン」である。
そもそも鹿肉は、牛肉や豚肉に比べて脂質が少なく、とってもヘルシーな食肉であり、栄養価も高い。蝦夷鹿ジンギスカンは、食べやすい大きさにカットして専用のタレに浸したことにより、肉の臭みもなくなり、口にしやすい。タレの種類は3種類(プレーン、ネギ塩、旨辛)あり、今回試食したプレーンは甘めの味付けで、肉はもちろん玉ねぎとの相性も良く、素材の味を引き出すものとなっている。
7月末に東部丘陵地域で開催された「みる・とーぶフェスティバル」では、エゾシカジンギスカン丼として販売し、来場者からも大変好評を得た。
駆除した鹿の活用は、肉だけではなく、角や皮 を使ったものも考えられるが、そこに費やす手間と収入面を考えた時、採算が合うものとなるのは簡単ではない。藤嶋さんはこれからの推進員の任期の中で、有害鳥獣の様々な活用の道を模索したいと考えていると話してくれた。
藤嶋さんの開発した「蝦夷鹿ジンギスカン」は現在、東部丘陵地域の高橋商店とログホテル メープルロッジ で販売されている。また、藤嶋さんの捕獲した鹿肉を使った料理が、岩見沢市内のホテルや飲食店で提供されている。
本来であれば駆除されるだけであったが、地域の資源として活用された絶品の鹿肉の味をぜひ、ご堪能いただきたい。
※蝦夷鹿ジンギスカン
※みる・とーぶフェスティバルで販売された「エゾシカジンギスカン丼」
岩見沢産の玉ねぎと鹿肉の相性が抜群
岩見沢産の玉ねぎと鹿肉の相性が抜群
〔蝦夷鹿ジンギスカン販売場所〕
・高橋商店(岩見沢市朝日町53)
・ログホテル メープルロッジ (岩見沢市毛陽町183)
〔鹿肉料理 提供店舗〕
・北海道グリーンランド ホテルサンプラザ(岩見沢市4条東1-6-1)
・Kibitaki hutte(岩見沢市春日町4丁目22-4)
・ログホテル メープルロッジ(岩見沢市毛陽町183)
・高橋商店(岩見沢市朝日町53)
・ログホテル メープルロッジ (岩見沢市毛陽町183)
〔鹿肉料理 提供店舗〕
・北海道グリーンランド ホテルサンプラザ(岩見沢市4条東1-6-1)
・Kibitaki hutte(岩見沢市春日町4丁目22-4)
・ログホテル メープルロッジ(岩見沢市毛陽町183)
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