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妹背牛(もせうし)町の「米子ちゃん」って、な~に⁉

このサムネだけじゃ、ちょっと分からないよ。。。そんなもどかしさを感じている「そらち・デ・ビュー」をご覧の皆さん、ご安心ください。
妹背牛町ライター・いちごちゃん米子ちゃんの全てをご紹介します。
いちごちゃん米子ちゃんを紹介するというライター失格(?)の分かりにくさはさておき、今回の主役の米子ちゃんに迫ります!

製造開始から30年以上!発酵ブーム到来のずっと前から愛されるワケとは

米子ちゃんは、妹背牛産米をふんだんに使った浅漬けの素です。塩・米こうじ・お米を二・五・八の割合で使っているので、「二五八漬け」の愛称でも親しまれています。
漬け物をはじめ、お肉やお魚に漬けて焼いたり、炊き込みご飯やカボチャのポタージュ、お鍋など、たくさんの料理に活用でき、そのおいしさを引き立てるところが特長。
調味料としてもその汎用性は高く、新しい料理のレシピが次々に考案されるなど、子育て世代から高齢者に至るまで幅広い世代に愛用されているんですよ~。
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米子ちゃんの仕込み作業が行われている妹背牛町農産加工センター

使う原料はお米と塩のみ!どんな風に作られているの⁉

米子ちゃんの仕込み作業は、農閑期の冬に町内の女性農業者の手で行われます。2022年産ななつぼしを使った今年の仕込みは2月28日~3月9日までの10日間にわたって行われました。

2023年3月1日、早速、米子ちゃんを製造している妹背牛町農産加工センターへおじゃましました。

出迎えてくれたのは、米子ちゃんを製造している「二五八グループ」の代表、橋向美月さんとグループの皆さん。この日は、セイロでお米を蒸す作業をしていました。
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湯気だつセイロ。米子ちゃんの製造は、お米を蒸すところから始まります。
 
蒸す時間は20分程度ですが、その日の気温や湿度によって微調整します。最終的には、蒸したお米を手で触って、芯がなくなるまで柔らかくなっているかを確認。
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蒸したお米の状態を手でつまんで確認する作業。長年の経験が光ります。
 
続いて、蒸しあがったお米を冷まし、麹菌を加えて混ぜていきます。
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冷ましたお米と麹菌を混ぜていきます。
 
麹菌を混ぜたお米はオレンジ色の容器に入れます。さらしに包んだ後、保温器でひと晩寝かせ、麹菌を繁殖させます。
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保温器の中にお米が入った容器が積まれていきます。
 
翌3月2日、再び農産加工センターへおじゃますると、米麹の良い香りが室内に広がっていました。
保温器から取り出した容器のさらしをめくると、そこには神秘的な光景が。
「お米の結晶」とも呼べるような白い麹が輝き、お米一粒一粒の存在感を高めています。美しい…!
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白い輝きを放つ麹が、お米の美しさを際立てています。
 
この麹を手で混ぜた後、もうひと晩、保温器で寝かせます。すると、麹菌がさらに繁殖します。

そして3月6日午前、米子ちゃんづくりもいよいよ大詰め。
加工室は、スイーツのような甘い香りに包まれていました。

炊きたてのご飯を麹菌が活性化する温度まで冷まして、出来上がった麹と混ぜます。別の部屋に麹を混ぜたお米を移し、電熱マットで温めながら、ひと晩寝かせます。
これは、お米のデンプンを糖に変え、糖度を高める工程です。橋向さんによると、自宅にある果物の糖度計で計測しても、針が振り切れるほど甘くなるそうです。

試食用に差し出してくれたのが、こちらの小さなカップ!
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米子ちゃんの原料はとっても甘い。橋向さんは「体に良いですよ」と勧めます。
 
この段階の米子ちゃんは、ふだん食べているご飯からは想像もつかないほどの甘さで、甘酒の原料にも代用できるそう。

最後に、この甘い米子ちゃんの原料に塩を混ぜて、保管庫で約3カ月間熟成させて完成です。
今回は約400㌔のななつぼしを使い、1,440パック(720㌔)分の米子ちゃんを仕込みました。
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熟成保管庫で寝かせること約3カ月間。今回製造した米子ちゃんは今年の6月ごろから販売されます。
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米子ちゃんを製造した二五八グループの橋向さん(中央)と皆さん
米子ちゃんをテーマに撮影したこちらの動画もご覧ください。

橋向さんは米子ちゃんの魅力について「地元のお米を使った無添加の加工品。発酵パワーで免疫力も高まり、工夫次第でどんな料理にも合います」と熱っぽく語ります。

米子ちゃんの由来や開発した経緯をたずねると、「私、二代目なので。。。」と意外なお返事。
「30年以上も前、女性農業者5人のグループが開発した」とお聞きしたので、早速、この日の午後に初代開発者の一人にお話を聞きに行きました!

米子ちゃんの誕生秘話!

北海道米の売れ行きが鈍かった昭和50年代後半から60年代にかけて、コメの付加価値を高め、消費拡大を図ろうという動きが活発になりました。

そんな中、米どころの妹背牛町内では、農業改良普及センターの助言を受けた女性農業者が、自分たちで生産しているお米を原料とした加工品の開発に向けて、知恵を絞りました。

関係機関との調整を経てネーミングやラベル、単価などを決め、平成2年(1990年)に誕生したのが、浅漬けの素「米子ちゃん」です。

そんな米子ちゃんの開発、PRの中心を担った女性の名前は、五井久恵さん(82歳)です。
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とにかく元気で好奇心おう盛な五井さん。
最近スマートフォンを使い始めました。

この日も、五井さんは持ち前のパワーとマシンガントークで初対面の筆者を圧倒します。健康の秘訣は「喋って、笑う。それと米子ちゃんを食べること」ときっぱり。
米子ちゃんについては「私の分身」と独特の言い回しを披露し、「名刺代わりにいろんな人に配ったよ」とPR活動に奔走した思い出を振り返りました。

五井さんは3人の娘を育て上げた後、自分の人生を見つめ直した時、新たに挑戦する道を選びました。

ゼロからのスタート。旧農協加工室で米子ちゃんの製造を続けて約10年が経ったころ、農家だった五井さんは納屋の一角を加工室に改装し、自宅の隣で米子ちゃんを作り始めました。
「お米が原料の自然食」「ジッパーを使って浅漬けも簡単」などのPR材料を武器に、米子ちゃんの魅力を広めることに必死でした。

製造開始から5~6年間は苦しい経営が続きました。
それでも原料のお米はいつも手元にあることを強みに、自分の信念を貫きました。

米子ちゃんの売れ行きが徐々に良くなっていく一方で、年齢を重ねた五井さんは製造・販売を引き継ぐ人材を探し始めます。

「私のように好奇心が強い女性」と、五井さんが米子ちゃんの後任に選んだのが、仕込み作業を手伝っていた橋向さんでした。

お2人はご近所さん同士。一緒に手料理を味わったり、おしゃべりを楽しむ家族のような存在です。
8年間、仕込み作業を手伝っていた橋向さんに米子ちゃんが引き継がれたのが、平成28年(2016年)
それまで漬け物が主流だった米子ちゃんの活用レシピにサラダチキンやカボチャのポタージュなど若い世代も好むメニューが追加されていきました。

米子ちゃんに半生をかけた五井さんは「冒険のように行動を起こすことが大事。米子ちゃんの販売は地域振興にもなる」と力を込めます。

改めて今の気持ちを問うと、五井さんらしい明快な答えが返ってきました。

「継いでくれる人がいて、すっごい、幸せ」
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納屋の一角を改装した昔の加工室で、笑顔を浮かべる五井さん(右)と橋向さん。
お2人は家族のように仲良しです。

米子ちゃんの情報を掲載している妹背牛町の公式ホームページはこちら

妹背牛温泉ぺぺルでの販売価格は1パック500㌘が税込350円。

販売場所は、フレッシュマートしんたに、妹背牛温泉ぺぺル、農産物直売所「SUN工房あぜみち」(5~10月)など。
お問い合わせは、二五八グループ 代表・橋向さん(TEL・FAX0164-32-3691)へ。

※ 「米子ちゃん」は妹背牛町のふるさと納税返礼品にもなっています! (妹背牛町のふるさと納税関係のページはこちら↓)
https://www.town.moseushi.hokkaido.jp/gyousei/documents/furusato_oen.html

※ 「米子ちゃん」を使用したレシピや調理例については、過去記事をご覧ください↓

https://sorachi-de-view.com/moseushi/moseushinouzeigo

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