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鉄道ファン注目!さようならSL50年記念フォーラムに行ってきた

こんにちは。炭鉄港推進協議会です。
今回は、2025年12月14日に開催された「さようならSL50年記念フォーラム」の様子をレポートします!

何が50周年?

突然「さようなら」といわれても何の話?…と思いますよね。
SLとはサムネイルにあるとおり、蒸気機関車のことです。

2025年は、日本でSLによる定期運行が終了してからちょうど50年の節目の年。
1975年12月14日には室蘭発 岩見沢行きの旅客列車が、そして、同月24日には夕張発 追分(安平町)行きの貨物列車が、SLによる最後の営業運転を行い、その歴史に幕を下ろしました。
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これを記念して、日本の産業近代化に大きく貢献したSLの歴史を振り返り、鉄道の観点から炭鉄港地域の未来を考えよう!ということで、今回のフォーラムが開かれたといういきさつです。
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開始前から賑わう会場

会場は道の駅あびらD51ステーション
当日は悪天候の予報にも関わらず70名以上の観客が集まり、ほぼ満席状態に。YouTubeライブ配信の同時接続者数も、一時100人以上を記録しました。
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プログラムは三部構成で、街歩き研究家として某テレビ番組への出演経験もある和田 哲(さとる)氏(写真左)がコーディネーターを務めます。

第一部は、釧路市立博物館学芸主幹 石川 孝織氏(写真右)と、一般財団法人東武博物館常務理事 浜田 晋一氏(写真中央)による鉄道の歴史のお話から開幕。
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石川氏からは鉄道と石炭の関係をテーマに、16世紀のヨーロッパまでさかのぼり、鉄道の発祥から蒸気機関の導入を経て鉄道が産業を発展させていく過程の解説から始まります。

日本、北海道では幌内鉄道(小樽の手宮~三笠の幌内を繋ぐ)が開業、活躍し始める一方、釧路ではどのような動きがあったかというと、跡佐登(アトサヌプリ)の鉱山から標茶まで鉄道が敷かれ、火山で採れた硫黄を運んでいました。これが北海道2番目の鉄道、釧路鉄道です。

北海道外の歴史の解説もありました。
中でも、日本を代表する産炭地の一つ、九州の筑豊炭田を支えた筑豊鉱業鉄道は、実は幌内鉄道や釧路鉄道よりも遅い開業というお話には、北海道の鉄道誕生の早さを再認識。


幌内鉄道は日本遺産「炭鉄港」のストーリーでもお馴染みの鉄道ですが、石川氏からは道東や日本全体の鉄道、炭鉱の発展と終焉のお話を聞くことができる貴重な講演でした。
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次に、浜田氏は東武鉄道の取り組みから、SLの保存と活用の意義を解説。

東武博物館(東京都)ではSLの動態保存を行っており(運行・整備は東武鉄道が実施)、職員によるおもてなしや、沿線で実施された季節毎のお祭り、イルミネーションなどのイベントなどが開催され、各イベントに合わせてSLにヘッドマークを付けていたそうです。

また、平日もSLを運行していることを活かし、学校の授業として小学生向けの学習会などを開催することで後世に繋げていく取組も行われていました。
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このフォーラムのために北海道へお越しになり、私たちにSLの保存や活用を考える機会をくださった浜田氏。東武博物館の取組には、北海道におけるSL継承のためのヒントがまだまだ残されているように感じます。

元国鉄機関助士らを招いて

ここまでで約1時間が経過し、続いて第二部では、写真集「国鉄最後のSL」著者 堀内 洋助氏(写真中央)、元国鉄機関助士 高本 学氏(写真右)が登壇。
さようならSL列車が走ったあの日の情景を語ります。
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今回、50年ぶりに追分を訪れたという堀内氏。当時は学生でしたが、「学生にしてはよく撮れている」と振り返ります。

SLの内観、外観、煙をあげて走る雄姿、見送る人々などを記録に残すため、さようならSLの225列車に乗り、白老駅で急行に乗り換え、苫小牧駅に先回りして到着を撮影したそうです。この旅では、宿代の節約のため夜行列車で寝泊まりしたのだとか。

中には、SLの車窓からこちらを撮影する人々や上空のヘリコプターの姿を撮ったところ、後日ヘリコプターからSLを見下ろした写真が新聞に掲載され、「実はあの時、同じタイミングでお互いを撮り合っていた!」というお話には来場者からも笑いが起こります。
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写真集には、当時の貴重な記録だけでなく、堀内氏の青春と思い出がたくさんつまっていました。
当時のメモと記憶を基にしたコメントも読みごたえがあり、鉄道ファンなら誰でも楽しめる濃厚な写真集といえるのではないでしょうか。

国鉄最後のSL 昭和50年12月 夕張線 室蘭本線
【著者】堀内 洋助
【出版社】東京新聞出版(中日新聞東京本社)
【発売日】2023年11月27日
A4判ヨコ 並製 112ページ
東京新聞オフィシャルショップ

高本氏からは、自らが機関助士として働いていた時のエピソードを披露。

SLには蒸気上がりの良し悪し、走り装置がうまく転がる、あまり転がらないなどそれぞれの個性があり、人間と同じ、生き物を見ている感じだと語ります。ディーゼルや電気機関車とはまた違う感覚があるようです。
「訓練や乗務ではつらい思い出も多くあったが、楽しい思い出のほうが多い」と懐かしそうに話してくださいました。
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ここで、さようならSL列車をけん引したC57 135号機が展示されている鉄道博物館(さいたま市)との中継タイム。
鉄道博物館では、このSLに乗務した元国鉄機関助士 加藤 進氏への花束贈呈と、当時と同じ助士席に座っての転車台回転が行われました。
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加藤氏は高本氏の先輩にあたる方。助士席に座る加藤氏を見て、高本氏も「良い顔をしていますね」と嬉し気でした。
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最後に、C57 135号機とフォーラム会場(道の駅あびら)に併設されているD51 320号機の汽笛を交互に鳴らす汽笛交換を行い、第二部が終了。
当時の運行に携わった方々や鉄道ファンにとって、さまざまな思いがこみ上げる感動的なシーンだったのではないでしょうか。

鉄道遺産の継承と未来

第三部では安平町長 及川 秀一郎氏(写真中央)、北海道科学大学助教 横山 貴志氏(写真右)が登壇。和田氏からお二人に、地域のSLをどのように継承していくかをテーマに投げかけます。
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少年時代はSLと追いかけっこをしながら登下校をしていたという及川氏。匂いや音もSLの魅力の一つの要素だと話します。会場のスクリーンに映る、当時の追分機関区※や白黒の煙をあげながら走るSLの写真には、あの頃の懐かしさを感じられていた様子でした。

※機関区…機関車の整備や検査、修繕などを行う機関。鉄道の要所をはじめとする主要駅に隣接して設置されています。
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道の駅あびらとD51 320号機

2025年6月には、D51 320号機の道の駅あびら移設以降の来場者数が400万人を突破し、多くの人々の目に触れられてきました。

このSLは普段は屋内で、月2回は屋外で展示していますが、車両を長く保存するため、雨天時は屋内に戻す、日頃から油を差して錆を防ぐなど本当に細やかな手入れが施されています。

さらに、道の駅の裏では石炭でミニSLを走らせる子ども向けイベントを定期開催するなど、SLで来場者を喜ばせるための多様な工夫が行われているのです。
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横山氏からは、主に道北におけるSLの保存活用事例について話題提供がありました。

横山氏は、ふるさと納税返礼品として沿線の石を拾って缶詰にした「旧国鉄天北線 線路の石缶詰」の開発、列車撮影マナーの啓発活動、あえて鉄道ファンではない学生たちと一緒に実行したクラウドファンディングなど、公私ともに鉄道の利活用に取り組まれてきました。

これらはSL50周年の歴史、また、それ以前の鉄道のまちとしての歴史の継承、次世代に受け継ぐきっかけづくりを目的とされています。

ごく限られた鉄道ファンだけではなく鉄道関係者の皆さんや地域の住民が、SLを「いま形があること」だけではなく、これまでの50年以上の歩みをどう捉えるか、どう伝えることができるかがポイントになると話します。
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最後に、再度鉄道博物館と中継を繋ぎ、学芸員 葛西 寅彦氏より鉄道博物館で開催中の特別展示を紹介してもらいました。

追分機関区で入れ替え作業を行っていた9600形蒸気機関車の運用が終了した1976年3月2日にちなみ、2026年3月2日までさようならSLミニ展示を設置するほか、加えて、写真家の伊藤 久巳氏が50年前の室蘭本線、夕張線、追分駅でそれぞれ撮影したSL最後の姿の写真と資料の展示も行われています。
 



これで全てのプログラムが終了!
3時間休憩なしの濃いフォーラムの様子を少しでも感じていただけましたでしょうか?

どんなトークがあったのかもっと知りたい!!という方は、是非炭鉄港推進協議会 公式YouTubeチャンネルをご視聴ください!

   
【プログラム】

<第一部>
Historical 歴史的意義~石炭輸送から始まる鉄道
釧路市立博物館 学芸主幹 石川孝織 氏
東武博物館 常務理事 浜田晋一 氏

<第二部>
Nostalgia 1975.12.14 SL終焉~それぞれの回顧録
写真集「国鉄最後のSL」著者 堀内洋助 氏
元国鉄機関助士 高本学 氏

さいたま市 鉄道博物館から中継
さようならSL列車の機関助士 加藤進 氏に花束贈呈
さようならSL列車をけん引したC57 135号機と汽笛交換

<第三部>
Departures 鉄道遺産~地域による継承と未来
安平町長 及川秀一郎 氏
北海道科学大学助教 横山貴志 氏

さいたま市 鉄道博物館から中継
鉄道博物館 学芸員 葛西寅彦 氏による特別展示紹介

さようなら?

12月14日が過ぎたら、SL50年記念イベントもおしまい…?
いやいや、まだ終わりませんよ!
当時使われていた駅スタンプを集める復刻駅スタンプラリー第2弾2026年3月15日まで開催中!

さようならSL50年記念復刻駅スタンプラリー第2弾 始まります!

皆さん、忘れずにご参加くださいね!

道の駅あびらD51ステーション
【住所】北海道勇払郡安平町追分柏が丘49-1
【展示スペース営業時間】9:0018:00(4月~9月)/9:0017:00(10月3月)
【電話番号】0145-29-7751
公式Webサイト

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