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引っ越し先で新しい美容室を探しつつヘアドネーションをした話(滝川市・吉見美容室)

大きなまちでも意外と難しい?引っ越し先での美容室探し

新しい土地へ引っ越すと、普段の買い物や病院は、みんなどうしているんだろう…と心配になります。
ご近所さんや職場の仲間に教えてもらって、だいたいの不安は解消するのですがー、美容室や床屋さんの場合はどうでしょうか。

十数年ほど前のこと。
ダンナさんの転勤で、道内のけっこう大きなまちへ転居した従姉から、
「うちのまちに、同年代の女性の知り合いっていない?どこの美容室がいいのか教えてほしいのよね」
と連絡がありました。何でも、ママ友に聞いたお店へ行ってみたところ、古代エジプト人のような髪型になってしまったのだとか。
古代エジプト人のような髪型って…
 
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あ、この人は男性でしたね…

知人がそのまちに住んでいたので、聞いてみると
「私も気に入った美容室が見つからなくて。いつも帰省ついでに札幌の美容室に行っているの。」
とのお返事。そのまちには数多くの美容室があったと思うのですが、だからといって必ず相性の良いお店が見つかるわけではないようです。

で。
昨年、6年ぶりに空知へ戻ってきた私も、改めて探しましたよ、美容室。
すると、滝川市の知人から「オススメの美容室あるわよ~」という情報をゲット。お店のインスタグラムをチェックしてみると、カットもなかなかいい感じです。
今のお店選びは、口コミに加えて、SNSを手堅く活用できるのがいいですね。
ということで。
 

お客様は4世代!

やってきました吉見美容室。滝川市郊外、JAたきかわの直売所「菜の花館」のすぐ近く、国道12号に面しています。
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創業は1970年。
「おばあちゃんからひ孫さんまで、4世代で利用してくださるお客様もいるんですよ」
と店長の高橋さん。
明るい店内には、店長さんはじめ数人のスタッフさんがいて、とても気さくな雰囲気です。
日曜の午後、夕方に近い時間ながら、お客さんが絶えることはなくて。人気店なんですね。
和服の着付けでも評判が高く、成人式の準備は吉見美容室で…という新成人が多いのだそうですよ。
 
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(吉見美容室ご提供)
また、老人ホームなどを訪問し、入居しているおばあさん達にメイク、ヘアーセットとドレスの着付けをして、写真をプレゼントするボランティア活動も行ってきたのだとか。
「最初はしかめっ面をしていたり、表情が乏しい方でも、ドレスアップして撮影を開始する頃にはぱっと明るい顔になっていて」と店長さん。ご自身の結婚式の時は和装しかなくて、実はドレスに憧れていた…なんて喜ばれるご高齢の方、多いのでしょうね。
 
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ただ、残念なことに、このボランティア活動は現在、コロナ禍で休止しているとのことでした。

そう、コロナ禍。
実は、昨年秋から今年の2月頃にかけて、親戚の挙式やら何やらで、何度か着物を着る予定があり、それに合わせて髪を伸ばしていました。しかし、コロナ禍で、すべて取りやめに。
せっかく1年半かけて伸ばした髪なので、ただ切って捨ててしまうのではもったいない。多少なりと使い道があるのなら…と考え、今回、ヘアドネーションすることにしたのです。
 

ヘアドネーションとは

ところで。「ヘアドネーション」って、ご存知でしょうか。
文字通り、髪(Hair)を寄附(Donation)すること。
寄附された髪で、がんなどの病気や怪我、脱毛症などのため髪が抜け落ちてしまった子どたちのために、人毛を寄附してウィッグ(かつら)を作り、無償で提供する活動が行われているのです。

人の毛を使ったウィッグの価格は数十万円。ただでさえ治療にお金がかかっているところへ、更に高価なウィッグとなると、大きな負担になります。今の時代、もう少し安価な人工毛のウィッグもありますが、いかにも「かつら」に見えてしまうため、よりナチュラルな人毛のウィッグを求めるニーズはやはり高いのだそうです。

そこで、髪の毛の寄附を募り、それで作ったウィッグを、必要とする子どもたちにプレゼントする活動が行われています。これがヘアドネーションです。

とはいえ、髪を寄附したいと思っても、カットから寄附先へ送るところまで対応してくれる美容室って、あまり多くないのです。ウェブ上で検索してヒットするのは、滝川市内だと2~3店、空知地域全体では5~6店といったところでしょうか。
寄附の要件に合わせてカットしてくれる美容室なら他にもあるようですが、切った髪を自分で寄附先へ送らなくてはならなかったり、そもそも自分の髪は痛みすぎていて使えないんじゃないか…などなど、ヘアドネーション初心者にとっては、不案内なことだらけ。
 
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その点、吉見美容室は、事前にホームページを拝見したところ、ヘアドネーションの説明やカットから寄附までの流れに至るまで、詳しく掲載されていました。

お店では、お客様向けに、こんな資料もご用意されていましたよ。
 
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サービスも充実していて、これなら安心してお任せできますね。
今回、吉見美容室でカットをお願いしたもうひとつの理由です。
 

さて、カットします

説明はこのくらいにして、カットしていただきましょう。
といっても、ただ切ればいいというものではなく、まず、切りやすい太さの毛束に分けて、カットする位置の少し下を輪ゴムでしっかりとめます。
 
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準備完了。カットしていきます。
「自分でも切ってみますか?」と店長さん。
わ!美容室で、しかも自分の髪を自分で切るなんて、初めて。
ぜひ!とやらせてもらったのですが、まっすぐに切るのって結構難しくて。
 
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あ、ナナメに切っちゃった。
(そもそも左利きです。)

切り終えるとこんな感じ。とりあえず切った感が半端ないですね…
 
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この後、整えてもらいながら、店長さんにお話を伺いました。

-吉見美容室では、いつ頃からヘアドネーションを始めたのでしょうか。

店長さん 4~5年前からですね。

-始めたきっかけは。

店長さん 著名人がヘアドネーションをしたという話題を耳にして、初めてヘアドネーションというものを知りました。髪にかかわる仕事をしていますので、とても気になって。美容師仲間に詳しいことを聞いているうちに、うちのお店でも協力したいと思ったのです。

-年間で、どのくらいの方がヘアドネーションに来ますか。

店長さん 20~25人くらいでしょうか。暑さ対策を兼ねてなのか、夏休みの時期になるとカットに来られる学生さんが少し増えますね。自由研究の課題として実際にヘアドネーションをした小学生もいましたよ。
 
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-え、自由研究で!自分で頑張っていろいろ調べて、髪も前年から計画的に伸ばしたんでしょうね。すごい!ところで、ヘアドネーションをするお客様の年齢層は。

店長さん 最高齢は70歳代。結構幅広いです。ちなみに、白髪が混じっていても寄附は可能です。男性のお客様もこれまでに2人いらっしゃいました。

そうか、若い人ばかりじゃないんだ。白髪でも大丈夫なのね…などなど思っているうちに、カット終了。
すっきりと仕上げていただきました。
 
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一方、切った髪の毛はというと…
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手前が実物の毛束。奥は鏡に映ったものです。
長さは37センチメートルありました。これを、吉見美容室さんから寄附先の団体へ送っていただきます。

髪を寄附して終わり、ではない現実。

ところで、このヘアドネーション。
カットの後、店長さんと、美容室の代表を務めていらっしゃる吉見先生から更にいろいろお話を伺って、髪を寄附して終わり!…では済まない現実があることを知りました。

まず、1人分のウィッグを作るのに必要な髪の毛は、何と20~30人分とのこと。ひとりやふたり、1回や2回の寄附だけでなく、多くの方の協力が必要です。
また、集まった髪をウィッグに加工するための手間と時間がかかります。寄附先の団体では、半年から1年かけてトリートメントなどの処理を施して、それからウィッグが作られていくのだそうです。

そして、ウィッグを必要としている子どもたちに無償で提供しているため、加工や調整などにかかる費用も調達しなくてはなりません。
吉見美容室では、ヘアドネーションをした場合、通常のカット料金(3,300円)をお客様からいただき、そのうち1,500円をウィッグの加工・調整などに充てる費用として、独自に寄附を行っているのだそうです。
受付には募金箱も置いていて、髪の寄附はできないけれど何か協力したい…という方からの寄附もお受けしているとのことでした。
 
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また、ひとりひとりの頭に合うように、ウィッグの調整に協力してくれる美容室の存在も大切なのだそう。確かに、そんな美容室が各地にあると、ウィッグを受け取る子が、調整のために遠くの美容室まで出かけていかなくても済みますよね。

そして、本当に目指すべきところは、ウィッグをしなくても、外見を気にせずに過ごせるような、互いに多様性を受け入れ、認め合えるような世の中なのでしょう。けれど、実際にはまだまだそこまで追いついていないのが実態です。

「ウィッグなしでは外出できない、学校に行けないという悩みを抱えている子が少なからずいる。これが現実だと思うのです。まずはそうしたお子さんの心の負担が少しでも軽くなるよう、多少なりとお手伝いができるなら嬉しいです。大切な髪を寄附してくれたお客さんも、同じような思いから協力してくださったと思っています。そして、将来的にはウィッグの調整にも協力できるようになりたいですね。この地域でウィッグを必要とする子が出てきたときに、お近くの美容室として、何らかのお力添えができればと思っています。」

と店長さんが思いをお話してくださいました。
吉見美容室オリジナルのヘアドネーション証明カードも、いただきましたよ。
 
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わがまちの美容室

お店の方たちとあれこれお話をしているところへ、ご近所さんかな、お母さんに連れられて、中学生の男の子がご来店。
「今日は息子なの。お願いしますね」
「あら、また背が伸びたのね!お母さんは、こちらでコーヒーでもどうぞ」
こんな会話がふわっと、お店の中に広がります。

30分ほどのち。カッコよく髪をカットしてもらった男の子は、お母さんと楽しそうに帰っていきましたよ。
 
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「またお気軽にお立ち寄りくださいね。次はカラーリングでも」
お見送りの言葉に「ぜひ!」と即答。
いえ、本当にふらっと立ち寄ってしまいますよ。自然にそう思ってしまうくらい、温かな雰囲気の美容室でした。
 
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〔吉見先生(左)と店長の高橋さん(吉見美容室ご提供)〕
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〔笑顔が素敵なスタッフのみなさん(吉見美容室ご提供)〕
吉見美容室の所在地や営業時間などについて詳しくは、お店のホームページでご確認くださいね。
ホームページ https://www.salon-yoshimi.com
インスタグラム https://www.instagram.com>totalbeauty_yoshimi
 

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