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スーパーマーケットが14年ぶりに復活!地域の暮らしを支える「ダ・マルシェ歌志内店」(北海道・歌志内市)

まちに新しいスーパーマーケットがやってきた。

いきなりクイズです。

・地名は「砂のたくさんある沢」という意味のアイヌ語に由来する
・「なまはげ」がいる
・神威岳から眺めることのできる雲海が素晴らしい
・美人の湯として人気の温泉「チロルの湯」がある
・郷土料理「なんこ」で有名

さて、どこのまちの話でしょうか。
 
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〔毎年2月に開催される「なまはげ祭り」の様子〕
…って、なまはげたちの後ろに答えが書いてありましたね(笑)
そう、空知地域の中央部に位置する「歌志内市」です。

先月、この歌志内市から、新しいスーパーマーケットが開店したという話題が届きました。
何でも、14年ぶりのスーパーなんだとか!

え。ちょっと待った。14年ぶりぃ?
これまで市民の皆さん、お買い物どうしていたのかしら。
それに。歌志内市って確か、全国一小さな市のはず。お店の経営、大丈夫なのかな。

などなど、余計なお世話いろいろ気になります。(いやいや、新しいスーパーでお買い物したいだけじゃないの?)
ということで。
 

「買い物弱者」「買い物難民」は今や地方だけの話じゃない

さっそく歌志内市へやってきました。
まずは市役所で、企画財政課長の東所勝則さんと産業課長の佐渡憲博さんに、いろいろお話を伺ってみましょう!
 
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〔歌志内市役所の佐渡さん(左)と東所さん(右)〕
―14年ぶりにスーパーマーケットが復活したそうで、話題になっていますね。

東所さん ここ歌志内市は、かつては空知地域の中でも有数の一大炭鉱都市だったのです。ピーク時の昭和23年(1948年)には、約4万6千人の人口を誇りました。住民登録をしていない人も結構いたらしく、実際には5万人を超えていたようですよ。

―わ、そんなにたくさんの人がここで暮らしていたのですね。

東所さん その後、国のエネルギー政策の転換に伴い、市内の炭鉱は1970年代から閉山が相次ぎ、平成7年(1995年)には最後の炭鉱が閉山。それに伴い、急速に減少を続けてきた人口は、直近の2023年(令和5年)4月末時点で2,733人。今は「全国一小さい市」です。

佐渡さん 人口減少に伴い、従来のスーパーも経営が難しくなって閉店したのが14年前のことです。
 
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〔かつて炭鉱の福利厚生施設(映画館兼集会場)だった悲別ロマン座〕
―スーパーのないまち…。でも、最近は都市部でも、場所によっては急速な人口減少や高齢化が進んでいます。1970~90年代に分譲された住宅団地などで、唯一の買い物の場所だったスーパーが閉店して、お年寄りが困っている…といった話も聞こえてきます。

佐渡さん そうですね。食料品の購入に不便や苦労をしている「買い物難民」「買い物弱者」といった問題は地方に限った話ではなく、今や日本各地で起こりうることだと思っています。

―これまで市民の皆さんは、どこで買い物をされていたのでしょう。

佐渡さん 車で十数分走ると、近隣の砂川市、滝川市、赤平市には大きなスーパーやドラッグストア、ホームセンターなどがあります。運転のできないご高齢の方は、バスで買い物に出かけたり、宅配サービスを利用したり。実は、歌志内市は、某ネットスーパーの配達エリアにも入っているんですよ。そういう意味では、道東や道北のまちに比べると、まだ選択肢がある方なのかもしれません。
 
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〔かもい岳から眺める雲海。春と秋に発生することが多い。〕
東所さん とはいえ、市民を対象に、まちづくりに関するアンケートを行ったところ「スーパーがない」という意見が多かったのも事実です。また、歌志内市では、市長と小中学生が懇談する機会を設けていて、そこで「スーパーがほしい」という声が子どもたちから寄せられたこともありました。

―やはり、日々必要な買い物が近くでできると便利だし、安心です。特に北海道は冬が長く、天候の悪い日が続くこともありますし。

東所さん 今、多くの地方のまちが過疎化に直面しています。しかし、まちは縮小しても、そこには人がいて、様々な暮らしが受け継がれていますからね。歌志内市では、これからも安心・安全に暮らし続けていくことができるよう、医療、食、住居、この3点は大切なインフラだと考えています。

―その3つのうち「食」に関わるのが、スーパーをはじめ買い物の環境を整えること、なんですね。

佐渡さん はい。スーパーは、いわばまちのセーフティーネットです。歌志内市では、公設民営方式を採用することで、今回、新しいスーパーの誘致にこぎ着けました。つまり、歌志内市がスーパー用のスペースと交流スペースを備えた建物を用意して、そこにスーパーが入居した、ということなのです。
 
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〔スイス風の三角屋根が特徴の温泉・宿泊施設「チロルの湯」〕
―そういえば、市内にはコンビニエンスストアも2軒あります。お客さんを奪い合ったりする心配はないのでしょうか。

佐渡さん 全く影響がないとまでは言い切れませんが、スーパーは午前10時から午後7時まで。一方、コンビニエンスストアは午前6時から午後10時まで営業しています。朝、出勤途中で昼食を買っていくとか、遅い時間に買い物をするといったときはコンビニを利用する。こんな具合に、お客さんが時間帯によって使い分けをされている印象を受けています。

東所さん 市民の皆さんには、例えば平日は近場の市内でお買い物をし、週末は近隣市町村の大型スーパーも利用して、どこで購入しても価格にあまり違いがないとか重いもの、かさばるものは宅配やネットスーパー、といった具合に、生活スタイルに合わせてうまく利用していただけるといいのかなと思っています。
 
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〔馬の腸(ホルモン)を味噌仕立てでいただく歌志内名物「なんこ鍋」〕
―なるほど。でも、歌志内のまちって東西に長いと思うのですが、お店から離れたところに住んでいるお年寄りは、やはり買い物が大変ではないでしょうか。

東所さん はい。いくらスーパーを誘致しても、アクセスできなければ意味がありません。そこで今年度から75歳以上の市民を対象に、市内限定で路線バスを1回100円、タクシーを500円の定額で利用できる利用券をお配りすることとしました(実証試験中)。

―スーパーまで距離がある方はもちろん、雪で足元の悪い冬のことなどを考えると、手軽に利用できる移動手段は大切ですね。

佐渡さん それに、スーパーでは開店に伴い12名を採用しました。スーパーを誘致することで、新たな雇用も生み出されたのです。

東所さん 今回の開店をきっかけに地域が活気づいて、元気になってくれるものと期待しています。そして安心して住み続けることのできるまちづくりを、さらに進めていきたいと考えています。
 

すごいぜ!小型食品スーパーマーケット

さて。
市役所でいろいろ伺った後、いよいよ新しいスーパーへお買い物に…いえ、お邪魔することに。
場所は、市内文珠地区。道道赤平奈井江線沿いにあります。
 
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あ、このスーパー、「Da・marche(ダ・マルシェ)」。同じ空知管内の沼田町にもありますね。
落ち着いたグリーンと茶色が建物のアクセントになっています。
さっそく中に入ってみましょう♪(ワクワク)
 
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おぉ~新しい匂いがします。確かオープンは4月15日。ようやく1ヶ月ってところですもんね。
あ、入り口を入って正面に、交流スペースを発見。
 
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〔気軽に利用できる交流コーナー〕
テレビに電子レンジ、奥にはトイレ。フリーWi-Fiも完備です。
ちょっと休憩したり、バスを待ちながらおしゃべりしたりするのに、ちょうど良さそうな場所ですね。

「いらっしゃいませ、こんにちは!」

と、ここで元気よく出迎えてくださったのは、このスーパーを運営する(株)道北アークスの髙木教雄さんです。
さっそくいろいろ伺ってしまいましょう!
 
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―オープンから間もなく1ヶ月ですね。

髙木さん はい。開店の日は700人くらいのお客様がご来店くださいました。今は1日あたりだいたい300人から350人くらいでしょうか。天候次第で多少上下しますね。よく来てくださるお客様のお顔・お名前は、まだ覚えきれていないのですが、平日は市内の方が多く来店されている印象です。

―同じ「ダ・マルシェ」というスーパーは、沼田町にもありますね。

髙木さん はい。「ダ・マルシェ」は、当社が旭川周辺の道北・空知エリアで8年前から展開している小型店舗なのです。上川町、愛別町、比布町、鷹栖町、沼田町、中富良野町、そしてこの歌志内市と、現在7店舗あります。

―どこも割と小さなまちかなぁと思うのですが…済みません、単刀直入に伺っちゃいます。採算は取れるものなのでしょうか。(だって心配なんだもん。)

髙木さん 当社では、ローコストオペレーション、つまり少人数で運営可能なシステムを構築しています。例えば、商品の発注や売り場づくりは、当社の本部にあるサポートセンターが支援しています。そして、発注は各店舗の担当が行うのではなく、季節や天候、地域で予定されているイベントなど、様々な条件を踏まえて、どのような商品がよく売れるのか予測発注するシステムを導入しているのです。他にも、セルフレジを導入するなど、店舗内の業務を効率化・省力化することで、小さな商圏で、少人数でも運営できるようにしています。
 
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〔お会計コーナーには3台のセルフレジ〕
―え。今のスーパーって、そんなハイテク?なことになっているんですか。

髙木さん 買い物できる場所がないと、どうしても人口減少が加速してしまいます。当社にできる地域貢献と思って、小型店でも採算が取れる仕組みを作り上げています。

―すごい。時代の変化だわ…。ところで、ここのお店の独自の特徴、セールスポイントなどはありますか。

髙木さん 歌志内店では、「ダ・マルシェ」では初めて100円均一コーナーを設けました。
 
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〔店内の100円均一コーナー〕
―わ。それは嬉しいですね。

髙木さん それと、最近は手軽に用意できる食品を求めるお客様も多いので、冷凍食品やレンジで温めてすぐ食べられる商品を多めに取りそろえています。
 
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―お客様の反応などはいかがですか。

髙木さん 反応とはちょっと違うかもしれませんけれど、歌志内には心の広い方が多いなぁと感じています。今回の開店に合わせて採用したスタッフばかりで、行き届かない点もあると思うのですが、皆さんとても優しく言ってくださるのです。ありがたいことです。
 
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〔お惣菜やお弁当なども充実の品揃え〕
髙木さん それに、毎朝、駐車場のゴミ拾いをするのですが、タバコの吸い殻や空き缶といったゴミが本当に落ちていないのですよ。市民の皆さん、環境に対する気配りが行き届いているというか、とても素晴らしいなぁと思っています。

―お客様から寄せられているご要望など、ありますか。

髙木さん 品揃えに関しては何件かいただいていています。後は配達をしてほしい、公衆電話はないの?といったお話がありましたね。今後に向け検討したいと考えています。
 
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ー今後、どんなお店にしていきたいとお考えでしょうか。

髙木さん 地方を中心に人口が減り続ける。この流れは、おそらく今後も続きます。皆さんの生活を支えるという意味で、こうした小型店舗はこれからますます重要になっていくと思っています。コンビニでは取り扱えないような、生活に必要な商品を取りそろえるのはもちろんですが、お客様のご希望やお話を聞いて、地域に密着した店づくりをしていきたいですね。
 

そして歌志内の挑戦は続く。

いや~、やっぱり自分のまちにスーパーがあって、いろいろお買い物できるのって、いいですね。
コンビニやネットスーパーもいいけれど、そこにスーパーマーケットが加わって、選択の幅が広がると、安心感はもちろん、買い物のワクワク感がさらに増してきます。

それにしても、今のスーパーって、ちょっと想像がつかないようなハイテクな運営をしているんですね。目からウロコダンゴ…いえウロコが落ちた気分です。
でも、こういう新しいシステム、新しい技術が、これから私たちの暮らしを支えていってくれるのでしょう。
そして何より、地域の皆さんに必要とされ、利用していただいてこそ。
これからも、ダ・マルシェ歌志内店、そして歌志内市のまちづくりから、目が離せません!

東所さん、佐渡さん、そして髙木さん。お時間をいただき、ありがとうございました。
歌志内でいろいろお話を伺って、何だか胸アツな気持ちになりました。(小さなまちでやっていけるの?なんて、スミマセン…。)

…あ。これも地域密着、のひとつかな。
 
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空知が発祥と言われる「味付けジンギスカン」の名店・松尾ジンギスカン(滝川市)の特上ラムに、大畠精肉店(新十津川町)の上マトンジンギスカン、上塩ホルモン…
さすがの品揃えです♪買って帰ろうっと。
ついでに、なんこ売ってないかな。え、置いていないの?残念…
髙木さ~ん、なんこも仕入れておいてくださ~い!

※歌志内市の雲海、チロルの湯、なんこが気になった方は、過去記事もチェックしてくださいね
歌志内の魅力3点盛

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