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【ソラチコーヒー 8杯目】 和菓子とソラチコーヒー

おいしいコーヒーのある日々を通じて、空知の魅力をゆる~く発信するソラチコーヒー。
今回は和菓子とコーヒーについてです。

和菓子を食べるときに一緒に飲むものというと、まずはお茶や抹茶が思い浮かびますね。
急須で淹れた煎茶や抹茶と食べる和菓子はとても美味しく、ちょっぴり贅沢な時間を楽しめます。しかし、現代の日本人の生活の中では、抹茶を点てるというと急にハードルが上がりますよね。
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最近は、きなこや黒蜜などを使った和のテイストのケーキや、お団子、わらび餅など和菓子がイチオシメニューのコーヒー店も増えてきました。お茶や抹茶だけでなく、コーヒーで和菓子を楽しむことで、若い人たちにも和菓子を身近に感じるきっかけにもなっているように思います。

空知エリアは、和菓子の原料ともなる上質なもち米や小麦粉、餡やきなこの原料となる豆類などの産地となっており、地元産の素材を生かしたおいしい和菓子のお店もたくさんあります。そんな空知とゆかりの深い和菓子と一緒にコーヒーを楽しんでみたいと思います。
とその前に…。

和菓子を味わうとは

そもそも和菓子を味わうとはどういうことなのでしょうか?

季節を映す

和菓子は季節を映すものとよく言われます。
冬はしんしんと降りつもる雪、春になると一気に芽吹く新緑、夏はまぶしい太陽に青空と雲と心地よく吹き抜ける風、秋は黄金色に染まる大地、そしてまた雪に包まれる冬…。
北海道の中でも、ここ空知では、そんな季節の移ろいをより感じることができる地域と言えます。
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和菓子はそうした季節ごとの旬の食材を使うことはもちろんですが、菓子そのものの中にも季節感が表現されます。

そろそろ桜の便りが届くかなという頃になると桜餅や桜の花をかたどった生菓子が並び、和菓子屋さんや、最近はコンビニのスイーツコーナーでも華やかな春の気配が漂います。
上生菓子といわれる和菓子の一種で、こし餡のまわりにそぼろ状にした餡をまとめてつけた「きんとん」という和菓子がありますが、季節によって名前と装いが変わります。
下の写真はどれもきんとんです。
左から、
芽吹き…白や灰色の中に若葉色のきんとんを配して雪の下から新芽が萌え出る様子を表現
此の花(=梅)…赤と白のきんとんで紅梅・白梅の美しさを表現
初霜…紅葉の葉の上に降りた初霜のキラキラ感を、氷餅(フリーズドライしたお餅の粉))を降りかけて表現
どれも材料は餡ですので、基本の味は一年中変わりませんが、形や色合いで季節を感じてもらうことが目的の和菓子です。

五感で楽しむ

また、和菓子は五感で楽しむものとも言われます。
視覚 ―「おいしそう」といった見た目の美しさや視覚的な季節感
触覚 ― 手触りや切るときに感じる感触、口に含んだ時の舌触りや口溶け
味覚 ― 自然の恵みを食べるおいしさ
臭覚 ― 米のよい香り、きなこの香ばしさ、桜葉からの「移り香」などほのかな香り
聴覚 ― 和菓子の名前の由来となった和歌や俳句の心地よい言葉やその土地の名所旧跡などの「名前の響き」

味覚だけでなく、視覚や聴覚なども取り入れて、想像力をフル稼働させて楽しむというのは、日本人ならではの繊細な感覚で、和菓子ならではの世界観ですね。
確かに洋菓子、例えばイチゴのショートケーキを五感で楽しむ…と言われてもピンときませんよね。
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名前を楽しむ

先ほど聴覚のところで触れましたが、和菓子の名前菓銘)を楽しむのも和菓子ならではの文化です。
和菓子には大福や羊羹という種類の名前のほかに「菓銘」というものが付けられています。菓銘の多くは、和歌や俳句、花鳥風月、その土地の歴史や名所に由来しています。
例えば梅の形一つにしても、「梅の花」という菓銘だけでなく、「白梅」や「雪中梅」、「寒紅梅」、「梅一枝」など様々な呼び方や、その地域の梅の名所を菓銘に取り入れたものもあります。
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菓銘は和菓子屋さん(職人さん)のごとに個性が出る特徴の一つですので、見て食べるだけでなく、菓銘を聞いて、職人さんの想いや情景を想像するというのも和菓子の醍醐味と言えますね。
空知ならではの菓銘の和菓子を作るとしたらどんな感じでしょうか。
…花の名所にちなんで「向日葵(ひまわり)」や「菜の花」、米どころにちなんで「稲穂」などもいいかもしれません。「そらち」という菓銘の和菓子も作ってくれる和菓子屋さんいないかなぁ。
 

地元の和菓子とともに

さて、ちょうど今は積雪量こそピークですが、一歩ずつ着実に春に向かっている季節ですので、春らしいお菓子もたくさん登場しています。そこで、季節の和菓子とコーヒーを楽しんでみたいと思います。
地元素材を使った和菓子が豊富な岩見沢市の菓子処・一久庵さんの和菓子と、コーヒーは空知で焙煎されたものからインスタントまでいろいろですが、和菓子の甘みを楽しむのと、メタボ予防?!のためにどれも無糖で味わってみました。


 花びら餅 × ミルク多めのカフェオレ
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年末から1月にかけて和菓子店に並ぶ「花びら餅」。
白くふっくらしたお餅からニョキニョキと出ているのは、なんとゴボウです。
平安時代、宮中で長寿を祝う「歯固め」の儀式に由来ルーツがあるそうで、中に白味噌の餡と菱餅を模した薄い赤い餅、甘く煮たゴボウをはさんで、半月型に包まれています。

コーヒーは、餅の透け感に合わせて、岩農牛乳(ソラチコーヒー5杯目で紹介)たっぷりのカフェオレ!味よりも見た目で合わせてみました。

カフェオレのミルク感により、花びら餅の白味噌餡の塩気が緩やかに引き立てられて、甘ったるい感じはせずさっぱり食べられました。花びら餅は、茶道の世界では、年初めの茶会で出されるお菓子だそうです。ゴボウや塩気など見た目とのギャップはありましたが、普段のカフェオレにちょっぴり季節感を取り入れられた気がします。
 

 塩がま × デカフェ
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「塩がま」とは、落雁(らくがん)の一種で、米などから作ったでんぷん質の粉に水飴や砂糖を混ぜて着色し、型に押して固めて乾燥させた干菓子です。諸説あるようすが、落雁よりも柔らかいものを塩がまと呼ぶようです。
一久庵さんの塩がまは、抹茶風味の落雁の中にこし餡が入っています。切ってみるとわかるのですが、たしかに落雁よりはしっとりして、程よく弾力もあります。
ちょうどおやすみ前のまったりタイムに食べたので、コーヒーはカフェインレスのデカフェにしてみました。インスタントのスティックコーヒーですが、しっかりとした風味がありました。


塩がまを口に含んでコーヒーを飲むと、溶けてサッと抹茶のほろ苦さが広がりました。そのあと、じんわりこし餡の甘みがコーヒーのほろ苦さとなじんできて、これは絶妙のハーモニーでした。風味とともにくちどけの食感も楽しめる組み合わせでした。


 丘の上珈琲 × 馬追の名水 × 草しんこ 

長沼町の馬追の名水で淹れたコーヒーと「草しんこ」です。
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「しんこ」は「新粉」と書いて、いわゆる上新粉(=もち米でない普通のお米(うるち米)の粉)です。これにヨモギを入れた生地で餡を包んで蒸したものが草しんことなります。大福のもちもち感に対して、しんこはシコシコした触感が特徴です。
ソラチコーヒー2杯目でも紹介した馬追の名水は、空知では貴重な名水スポットで、コーヒーを淹れるのにピッタリなまろやかな水です。真冬でも快適に利用できるよう、地元の有志の皆さんが管理してくださっていますので、感謝の気持ちでマナーを守って利用しましょう。
そしてコーヒーは、この名水に一番近い焙煎店「丘の上珈琲」さんのオリジナルブレンド。雄大な景色を見下ろしながら、丁寧に焙煎されたコーヒーをのんびり楽しめるカフェもあります。


さて、この組み合わせですが、あんこや上新粉の甘みが、コーヒーの苦みをよりまろやかにしてくれます。そして最後にヨモギの青々とした香りが余韻に残り、今よりもう少し先の季節、芽吹きの頃の野山の香りが思い浮かぶ、そんな味わいでした。


 福どら焼 × FKUEIハニーブレンド
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福どら焼は、中身は普通のどら焼きですが、お正月特別バージョンのパッケージで新しい年の開運招福の願いが込められています。岩見沢産の小麦粉「きたほなみ」を使い、水分を封じ込め、ふんわり・しっとりの食感を出すためにはちみつが使われています。
…となるとコーヒーもはちみつの風味を謳ったものということで、「福」にもかけまして、福島県郡山市の老舗コーヒー店・富久栄珈琲さんのハニーブレンド!


コーヒーの甘い香りを感じながら、どら焼きを一口パクっといきます。小麦とコーヒーの香ばしさのあとに、餡の甘み、そして最後はコーヒーのほろ苦さでスッキリです。
どら焼きは鎌倉時代に起源があるとする説が有力ですが、現在日本で売られているどら焼きの生地はホットケーキの影響を受けて、江戸時代以前のものとは違う進化を遂げているそうで、和洋ハイブリッドなお菓子と言えますので、コーヒーとも相性が抜群にいいんでしょうね。

 
 桜餅 × 岩見沢ねぶたブレンド
そして、早春の和菓子と言えば桜餅!これに、ソラチコーヒー6杯目でご紹介した岩見沢のPLATSさんのオリジナルブレンド「ねぶたブレンド」を合わせます。
このねぶたブレンドは、北海道教育大学岩見沢校の学生さんたちによる「岩見沢ねぶたプロジェクト」の応援企画として今年から販売しているそうで、ねぶたの色とりどりの光や華やかさと、祭人の情熱をイメージしたコーヒーです。さわやかな酸味と岩見沢の花「バラ」を思わせる華やかな香りがします。

 
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桜餅は「移り香」を含めた香りを楽しむ和菓子ですので、このねぶたブレンドとの香りの競演を楽しみます。
桜の香りがより強く感じられますので、桜餅はぜひ、勇気!?をもって葉っぱごと食べてみてください。バラも桜もどちらもバラ科の花でもありますので、桜餅を口に含み、コーヒーを飲むと、華やかな香りがふわっと広がります。そのあと、もち米の食感が残るつぶつぶした皮と、なめらかなこし餡のやさしい甘さが、ねぶたブレンドのほろ苦さを引き立てて、最後に桜葉の塩気で引き締まります。
この組み合わせは、今回のベストでした!

互いの味を引き立てあう

飲み物や食べ物を組み合わせて、互いの邪魔をせず良さを引き立て合うことができるものを「フードペアリング」や「マリアージュ」と呼びます。空知の特産品であるワインも、空知の豊富な食材を使った料理と合わせるとさらにおいしくいただくことができますよね。
いろんな和菓子とコーヒーとの相性を試してみて、やはり同じ風味の和菓子とコーヒーを合わせるととても合うように感じました。柑橘系の酸味のあるコーヒーにレモンケーキを合わせるように、甘い香りのコーヒーには小麦や餡の甘さを、苦みのあるコーヒーには抹茶の和菓子を…といった具合です。

さらに和菓子の甘さを引き立てて味わうなら、コーヒーはほど良く苦みがあるブラックがいいと思います。実は筆者は普段ブラックでは飲まないことが多いのですが、和菓子には断然ブラックですね。特に餡は主張しすぎることなく、ほど良い甘さを届けてくれるので、コーヒーとの相性が抜群です。

ソラチコーヒー流には、コーヒーも和菓子も、それぞれ身近な場所、ご近所、あるいは同じ空知の中で焙煎したり、作ったりしているもの同士なら、より引き立て合うよう思います。
きっとそれは、同じ空気を吸い、風を感じ、同じ雪を見て、同じものを食す…作り手の皆さんのそんな日々のリズムが、どこか似ているからなのかもしれませんね。

そして季節を味わう

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そして、味を楽しむだけじゃないのが和菓子の奥の深さです。
コーヒーは、赤道付近のいわゆるコーヒーベルトで栽培されているものが大半で、四季の変化がほとんどないところで生産されています。「夏はアイスで飲みたい」というくらいの変化はありますが、コーヒー自体に季節を感じることは少ないと思います。
しかし、それに和菓子を添えて、相性のいいコーヒーを選ぶことによって、いつものコーヒーに季節感を取り入れることができますよ!
季節を味わうことは、空知を味わうことなんですね。
空知の和菓子と楽しむ― それもソラチコーヒー
和菓子と組み合わせるだけで、コーヒーで季節を感じ取ることができます。
北海道の中でも、春夏秋冬がより明確なここ空知で、和菓子と一緒に季節を感じながらコーヒーを楽しんでみませんか?
そう、はもうすぐそこです。

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