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【ソラチコーヒー 9杯目】 マキネッタでソラチコーヒー

おいしいコーヒーのある日々を通じて、空知の魅力をゆる~く発信するソラチコーヒー。
何年かぶりの”超”豪雪に見舞われたこの冬の空知でしたが、道端の雪の山も融け始め、歩道に播いたすべり止めの砂が顔を出し、少し埃っぽいけど春の陽射しがあたたかい、そんな季節になってきましたね。

コーヒーを味わうことって…

さて、皆さんはコーヒーを飲むとき、自分で淹れる派でしょうか、
あるいはカフェなどでプロに淹れてもらう派でしょうか?

カフェ派であっても、カップやスプーン、砂糖の入ったポットなど、コーヒーにまつわる道具のセンスや使いやすさなどに感心したり、たとえテイクアウトの紙コップだって、気の利いたメッセージを書いてくれたりしたら、それだけでより一層おいしく感じませんか。
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さらに自身で淹れて飲むコーヒーであれば、お湯を沸かすポットやドリッパーだったり、サイフォンだったりと、お気に入りのコーヒー器具を使って淹れる過程や時間も含めて、極上の一杯をさらにおいしくしてくれているような気がします。
そう、コーヒーの味って味覚で味わうものだけじゃないと思うんです。
今回は、コーヒー器具のひとつ「マキネッタ」を使ってソラチコーヒーを楽しんでみましょう!

マキネッタって?!

聞きたくなりますよね。いきなり登場したマキネッタって何なのか?
よくインテリア雑誌で、テーブルの上にさりげなく置いてあったりする、あの縦長の角ばった銀色のやかん?ポット?みたいな器具です。
 
(雑誌表紙風に?!)
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実は私も、つい最近まで、これをインテリア用の飾りのポット?、水差しか何か??だと思っていました(汗)。
マキネッタとは、エスプレッソの本場イタリアでは一家に1台必ずあるといわれるほどポピュラーな「直火式エスプレッソメーカー」です。日本でいう緑茶用の急須のような道具で、エスプレッソ大好きなイタリア人の家庭では、これで毎日のコーヒタイムを楽しんでいるそうです。

エスプレッソとコーヒーの違い

ところでエスプレッソとコーヒーの違いってご存じですか?
ソラチコーヒーでは6杯目の記事で、岩見沢市のエスプレッソ専門店PLATSさんを紹介しました。
【ソラチコーヒー 6杯目】 エスプレッソでソラチコーヒー

改めておさらいしてみましょう。
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そもそもコーヒーとエスプレッソは淹れ方自体が違う全く別の飲み物です。私たちがコーヒーと呼んでいるのはアメリカンコーヒーのことで、焙煎して粉にしたコーヒー豆をフィルターでゆっくり濾すドリップ式で淹れるのが一般的です。

一方、エスプレッソは深く焙煎したコーヒー豆の粉を、9気圧の高圧力で成分を短時間に一気に抽出するので、その分エキスが濃いにもかかわらずエグ味の少ないコーヒーに仕上がります。また、ドリップ式ではコーヒー豆に含まれる油分なども漉し取られてしまいますが、エスプレッソならコーヒー豆からギュッと詰まったコーヒーのエキスが油分も含めて抽出できます。

エスプレッソの抽出は高圧力が必要なので、一般的にカフェでは専用のエスプレッソマシーンが使われます。最近は家庭用のエスプレッソマシーンも出回っていますが、普通のコーヒーメーカーに比べ値段が高く、しかも高圧力を作るため特殊な仕組みのため、お掃除やメンテナンスも大変です。このため、エスプレッソの本場のイタリアの家庭ではマシーンは使わず、マキネッタを使い直火で淹れるのが一般的なんだそうです。

抽出の仕組みは

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本体は、水を入れるボイラー(左)、コーヒー粉をセットするバスケット(中央)、抽出されたエスプレッソがたまるサーバー(右)の3層構造になっています。
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水とコーヒー粉をセットして火にかけると、内部の圧力が高まり、その力でお湯がコーヒー粉の入ったバスケットを噴水のように下から上へ通り、最上段のサーバーにエスプレッソが抽出されるという仕組みです。
業務用のマシーンほど高い圧力はかからないため、クレマ(表面にできる細かい泡)は控えめですが、家庭で気軽にエスプレッソが楽しめます。

では淹れてみましょう!

マキネッタの構造はとてもシンプルですので、入れる作業も、ボイラーに水を、バスケットにコーヒー粉を入れ、直火にかけるだけの超簡単です。
コーヒーは、いわゆるイタリアンローストのような深煎り豆を、粉のように極細挽きして使うのが基本のようですが、マキネッタはエスプレッソマシーンより抽出時の圧力が弱いため、細挽き程度のほうがお湯がコーヒー粉をうまく通過できるようです。
そして豆もそれほど深煎りにこだわらず、最近ハマっているPLATSさんの「岩見沢ねぶたブレンド」(中深煎り程度)を使って、ドリップで飲んだときとの味の違いを楽しんでみることにします。
「違いを楽しむ」のもソラチコーヒー流ですからね。
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今回は家のガスコンロでしたが、IHに対応しているものもあるようです。
また、直火が使えるので五徳などで安定性さえ確保できれば、青空のもと、ピクニック気分でカセットコンロやアウトドア用のシングルバーナーでも使用可能です。
きっと、季節を楽しみながらの外でのエスプレッソはまた格別でしょうね。



コンロで弱火にかけてからは、耳を澄まして音を聴くことが大事です。
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タンクの水が沸騰して抽出が始まると、かすかにシューシューという音がしてきます。
そして、抽出が終わった頃にはコポコポと「終わったよー」という感じで音が鳴り始めるので、すぐに火から離しましょう。
ふたを開けてみると、ちゃんとエスプレッソがサーバーにたまっています。私が使ったのは、1カップ用(デミタスカップ1杯=約60㎖)ですが、だいたい5分程度で抽出完了です。
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マキネッタで淹れると、どこかのおしゃれなカフェ?と思うような、香ばしく甘~い香りが部屋中に漂います。これは、ペーパードリップの比ではありません。やはり圧力をかけて、コーヒーの風味を余すところなく抽出できるからなんでしょうね。
音を聴いて淹れたり、ただよう香りを楽しんだり、原料のもつ風味を余すところなく味わう…そして味もほろ苦く、野点だってできちゃうと、どこか日本の茶道にも通じるところがあると思いませんか?

カフェラテで飲みましょう

エスプレッソの抽出と並行して、牛乳をレンジで温めておいたので、カフェラテにして飲みます。
 
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私はこれまでコーヒー豆の油分をなんとなく”飲まず嫌い”していた感があったのですが、コーヒーがもつ旨味をバランスよく味わうという点では、断然エスプレッソに軍配があがると思います。
たまにカフェで、ネルドリップで淹れてもらったコーヒーがうまいなぁと感じていたのは、ネルの場合もペーパーフィルターと違って、ほどよく豆の油分が抽出されて、深みのあるまろやかな味わいになっていたからだと気づきました。ネルドリップにこだわっているコーヒー店があるのも、なんとなく分かる気がしてきました。
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エスプレッソの油分がわかりますよね?

エスプレッソは、そのままだと濃厚で苦味を強く感じるので、本場のイタリア人は、砂糖を底にたまるほど入れて、クイッと一杯ひっかけるように飲んで仕事に出かけていくそうです。
1杯淹れるのにちょっぴり時間はかかりますが、心地良い香りを楽しみながら出来上がりを待つ……。そんな、淹れるまでの贅沢な時間も楽しめるのがマキネッタではないでしょうか。

ものづくりを味わう

おうちで手軽においしいエスプレッソを作れるマキネッタですが、これが道具として、なかなか奥が深いことが分かりました。
今回、最初は借用させていただいたマキネッタを試しに使ってみたのですが、コーヒーを淹れることがとても楽しく、かつおいしいエスプレッソを手軽にいただけるので、自分用にひとつ購入してみました。

ネットで注文してわずか3日で届いたのは、イタリアの老舗コーヒー器具メーカー・ビアレッティ社の最も一般的な1カップ用のマキネッタ「モカエキスプレス」です。
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私が注目したのはこの道具の歴史です。
1933年にこの形式のマキネッタを発売し、イタリアに一大ブームを引き起こし、それから実に80年以上作り続けているロングセラー商品です。
箱の中に同梱されていた何やらものすごく折りたたまれている取扱説明書を広げてみると、なんと驚きの19言語対応!いかに多くの方に世界中で愛用されているのかが分かります。
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現在では多くのメーカーがこのビアレッティ社のものを原型としたマキネッタを製造しており、ニューヨーク近代美術館の永久展示品にも選ばれ、アイコン的デザインとして知られています。だからマキネッタを知らない人でも、どこかで見た気がする道具だと感じるんですね。

次々と新しいものが生まれてくるいくつもの時代をくぐり抜け、長く愛されているデザインは、いわば時間が証明したデザインでもあり、ものづくりにおける究極のゴールではないかと思います。
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空知のものづくりを想いながら…

ここ空知では、石炭産業から培ったものづくり技術の蓄積や地域の豊かな農産物を活用して付加価値を高める企業が産業を支えています。

ドラマ化もされた人気小説「下町ロケット」のモデルとも言われている企業や、日本で初めて大型農機具コンバインを開発するなど農業の未来を創ってきた企業など、オンリーワンの技術で、世界に通用するものづくりを続けている企業がたくさんあります。そうした空知のものづくりを想いながら、マキネッタで淹れたエスプレッソを飲むと、より味わいが深くなるような気がします。

コーヒーは生豆そのものでは飲むことができないので、焙煎し、豆を挽き、抽出するための道具が必要になります。カフェで飲むだけの頃は気づかなかったのですが、自分で淹れてみると、豆を量り、ミルで挽き、マキネッタにセットし、抽出して、飲むに至るまでの過程や時間、空間をひっくるめてコーヒータイムそのものを楽しめるようになりました。

そして、コーヒーを楽しむための相棒として、ずっと変わらないものづくりの成果である『道具』がそばにあること。これもソラチコーヒー流の楽しみ方ではないでしょうか。きっと空知のもつものづくりの技術力をもってすれば、オリジナルのコーヒー道具も作れるんじゃないかなぁ…なんて夢も。

最新鋭のエスプレッソマシンからすれば、超アナログでシンプルな仕組みのマキネッタですが、経済効率優先、利便性優先でものづくりがなされ過ぎた歴史を振り返ると、忘れてはいけないものづくりの原点がこのマキネッタにはあるような気がします。
 
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かつて産炭地として栄えた空知もまた、経済性・利便性優先のエネルギーの転換によって衰退した歴史があります。
ただ、昨今のコロナ禍も相まって、消費型の都会を離れ、その土地に長く続いているものに関心を持ち始める人も増えてきています。たくさんのもの、最新型のものを手にすれば、誰もが幸せになれるという時代が落ち着き、ものの見方や買い方のスピードにいろんな選択肢が用意される時代です。そんな時代に、空知のものづくりは、エスプレッソのように奥深く、いい味出していけるんじゃないかなと思います。


マキネッタで淹れたコーヒーで空知のものづくりを想いながら味わう― それもソラチコーヒー
お気に入りの道具を使って、極上の1杯を淹れる時間はきっと人生を豊かにしてくれるでしょう。それは、誰かに淹れてもらうコーヒーも同じ。

次の週末、お気に入りのカフェでコーヒーを注文したら、店主にこう言ってあげたくなりました。
「ゆっくりでいいよ~。」

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