「鞄いたがき」はなぜ愛されるのか
更新日2018.04.05
ときは3月中旬。気がつくと百貨店やスーパーの売り場から可愛く包装されたお菓子や小物たちはとっくに消えてしまっていた。「バレンタイン、ホワイトデーも終わったか…」
最近出張続きで、チョコレートの1つで一喜一憂している暇がない私には所詮無縁の売り場ではあるが、時の経過を教えてくれるサインだと思えば悪くはない。
そして今日も出張である。長距離の運転も疲れてきたところで、温かみのある外観のカフェやショップのような、はたまた工場のような建物が視界に入り、思わずハンドルを切ってしまった。
そこは、「鞄いたがき」赤平本店。
これが私と「いたがき」の出会いなのであった。
最近出張続きで、チョコレートの1つで一喜一憂している暇がない私には所詮無縁の売り場ではあるが、時の経過を教えてくれるサインだと思えば悪くはない。
そして今日も出張である。長距離の運転も疲れてきたところで、温かみのある外観のカフェやショップのような、はたまた工場のような建物が視界に入り、思わずハンドルを切ってしまった。
そこは、「鞄いたがき」赤平本店。
これが私と「いたがき」の出会いなのであった。
店内へと入ると、開放感あふれるショールームがお出迎え。
木のぬくもりに包まれた北海道らしい空間が製品の個性をうまく引き出してくれている印象。
店内には本当にカフェもあり、地元の洋菓子店のケーキを食べながら優雅なCoffeeTimeを満喫することもできる。落ち着くなぁ…。
店内には本当にカフェもあり、地元の洋菓子店のケーキを食べながら優雅なCoffeeTimeを満喫することもできる。落ち着くなぁ…。
そして隣の工房では平日限定であるものの、ガラス越しに作業風景を見る事もできるというかなりの充実ぶり。
さて、そんな「いたがき」さん。いったいどんな製品を作っているのだろうか。
皮の腐敗や乾燥を防ぐための加工技術のことを「なめし」と言い、皮をなめす方法は「タンニンなめし」と「クロームなめし」の大きく2種類に分かれる。
「タンニンなめし」は手間と時間を要すが、出来上がった革は収縮が少なく使うほどに馴染んで深い色合いに変化していくのが特徴で、馴染んだ革には使った方でなければわからない優しさや感動があるのだ。
生産性を度外視してまで、この「タンニンなめし」に拘る理由は、末永く使えて愛着のもてる「鞄」を提供したいという創業者の強い思いがあったからなのである。
スーツケースの下にキャスターが付いているのは現在ではもはや当たり前のことだが、これを考案したのが、エース時代の板垣氏だというのだから驚きである。
その後、同社で物作りの現場長としてキャリアを積んだ板垣氏がたどり着いた結論は、「人に頼らず、時代に流されず、信じる道を自分で歩いて職人として生き抜いていく」ことであった。それを実現するための答えとして、1982年、いたがきの創業を決意したのだ。
言うまでもなく、現在「エース(株)」と「いたがき」はつくる製品・製法も異なる。しかしどこか双方の製品に共通するにおいを感じることがあるのだ。それにはこのルーツが影響しているのではないだろうか。
「いたがだき」の特徴といえば製品はもちろん、それに関わるスタッフの愛情も挙げておきたい。
直営店に立ち寄りウインドウショッピングをしていたところ、販売員が近づいてきた。私が持っていた同社の製品を見るなり、「何かお探しですか?」と聞かれると思いきや、掛けられた言葉は「お手入れしますか?」という一言。これには驚いた。お願いすると本当に嬉しそうに丁寧に油を塗ってくれ、手入れを終えると「良い感じになって来ましたね」などと講評までいただけたのである。
ちなみに自分で手入れをする場合の目安としては1ヶ月に1度くらいがちょうど良いらしい。手入れをすれば愛着も沸いてくるため、ぜひやってみることをおすすめする。もしうまくいかなかった際は、お店へGO!だ。
◆修理
「お手入れ」のエピソードからも連想できるように、いたがきは末永く使えて愛着のもてる鞄を提供したいという強い思いをもっている。そういうこともあり、いたがきでは社内に「修理部門」を完備しており、革が風化さえしていなければ、ほとんどの場合、修理が可能なようだ。
価格は決して安くないものの完璧に修理して貰えるので、一生使うと考えると必要な投資だと考えることができるだろう。
さて、そんな「いたがき」さん。いったいどんな製品を作っているのだろうか。
ポイント① タンニンなめし革
いたがきの代名詞といえば、「タンニンなめし革」である。皮の腐敗や乾燥を防ぐための加工技術のことを「なめし」と言い、皮をなめす方法は「タンニンなめし」と「クロームなめし」の大きく2種類に分かれる。
「タンニンなめし」は手間と時間を要すが、出来上がった革は収縮が少なく使うほどに馴染んで深い色合いに変化していくのが特徴で、馴染んだ革には使った方でなければわからない優しさや感動があるのだ。
生産性を度外視してまで、この「タンニンなめし」に拘る理由は、末永く使えて愛着のもてる「鞄」を提供したいという創業者の強い思いがあったからなのである。
ポイント② 創業者は…
北海道を代表するものづくり「いたがき」が、世界的な鞄メーカーと深い関わりがあることをご存知であろうか。というのも、いただきの創業者である板垣英三は、実はあの「エース(株)」で商品の開発・製造に打ち込み、大量生産のベルトコンベアのラインを作った第一人者なのである。スーツケースの下にキャスターが付いているのは現在ではもはや当たり前のことだが、これを考案したのが、エース時代の板垣氏だというのだから驚きである。
その後、同社で物作りの現場長としてキャリアを積んだ板垣氏がたどり着いた結論は、「人に頼らず、時代に流されず、信じる道を自分で歩いて職人として生き抜いていく」ことであった。それを実現するための答えとして、1982年、いたがきの創業を決意したのだ。
言うまでもなく、現在「エース(株)」と「いたがき」はつくる製品・製法も異なる。しかしどこか双方の製品に共通するにおいを感じることがあるのだ。それにはこのルーツが影響しているのではないだろうか。
ポイント③ 販売員全員が製品を愛している
◆お手入れ「いたがだき」の特徴といえば製品はもちろん、それに関わるスタッフの愛情も挙げておきたい。
直営店に立ち寄りウインドウショッピングをしていたところ、販売員が近づいてきた。私が持っていた同社の製品を見るなり、「何かお探しですか?」と聞かれると思いきや、掛けられた言葉は「お手入れしますか?」という一言。これには驚いた。お願いすると本当に嬉しそうに丁寧に油を塗ってくれ、手入れを終えると「良い感じになって来ましたね」などと講評までいただけたのである。
ちなみに自分で手入れをする場合の目安としては1ヶ月に1度くらいがちょうど良いらしい。手入れをすれば愛着も沸いてくるため、ぜひやってみることをおすすめする。もしうまくいかなかった際は、お店へGO!だ。
◆修理
「お手入れ」のエピソードからも連想できるように、いたがきは末永く使えて愛着のもてる鞄を提供したいという強い思いをもっている。そういうこともあり、いたがきでは社内に「修理部門」を完備しており、革が風化さえしていなければ、ほとんどの場合、修理が可能なようだ。
価格は決して安くないものの完璧に修理して貰えるので、一生使うと考えると必要な投資だと考えることができるだろう。
私のお気に入り
さて、ここまで見てきたように、鞄いたがきの商品はお客さんはおろか、従業員にも間違いなく愛されている。これは簡単なようでなかなかできることではないだろう。私自身も最初の出会いから数年の時間を経たが、今では「いたがき」の製品を数点所有することができている。なかでも特に私のお気に入りは「ルガトー」という牛の首のしわの模様を生かしたシリーズである。いたがきの高い品質に個性を組み合わせた至高の1品と言えるだろう。
My name is…
こだわりの製品にもったいない!と思う方もいるかもしれないが、店頭では購入した商品にネームも入れて貰うことが可能だ。
札幌店では雪の結晶、千歳空港店では北海道の形も入れて貰えるので、ファンなら全てコンプリートしたくなること必至である。
「いたがき」で紳士の仲間入り
おすすめのお店は今回ご紹介した赤平本店であるが、他にも道内では札幌、千歳にも直営店がある。さらに道外でも東京、京都に展開しており、5月には新たに名古屋にも新店舗がオープンする予定となっている。「いたがき」ファンは道内外にどんどん増えているのだ。さて、ここまで読んでいただいた紳士予備軍のそこのあなた。来年の2月に向けて今から「いたがき」を身につけておくことで、当日はきっと鞄に入りきらないほどのチョコレートがやってくるはずである。
紳士というのは見た目だけの問題ではないのでそこにはご留意いただきたいが、「一流のモノが一流の人を作る」という言葉もあるので、ぜひ皆さんも「いたがきデビュー」されてみては如何だろうか。
鞄いたがき赤平本店
革製品のお店です。
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