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さようならJR留萌本線(石狩沼田―留萌間)~お別れセレモニーに行ってきました~

留萌と深川を結ぶJR留萌本線。
そのうち留萌と石狩沼田の区間は、この3月31日に、113年の歴史に幕を下ろしました。今回は、当日沼田町の恵比島駅で行われたお別れセレモニーの様子をレポートします。

JR留萌本線は、もともと深川から増毛までの66.8kmを結ぶ路線。
昭和の最盛期には札幌へ直通する急行列車が運行されるだけでなく、羽幌など留萌管内で採掘された石炭などを運ぶ貨物列車が数多く往来し、沿線は乗客や国鉄の関係者で大変な賑わいを見せていたといいます。

しかし、その後の炭鉱の閉山に伴って貨物運行は廃止され、さらには急速な人口減少や、自家用車の普及によって、旅客数も減少の一途をたどります。

平成28年(2016年)の増毛・留萌間の廃止に続き、今回は留萌・石狩沼田間が廃止。そして、3年後には、残る石狩沼田・深川間も廃止され、留萌本線は全線にわたって姿を消すことが決まっています。
 
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さて、今回のお別れセレモニーが行われた恵比島駅。駅舎に掲げられた看板には「明日萌驛」(あしもいえき)と書かれています。

御存知の方もいらっしゃると思いますが、この恵比島駅は平成11年(1999年)のNHK連続テレビ小説「すずらん」のロケ地。架空の「明日萌驛」のセットがこの場所に建設されました。(本来の駅舎はその右にある緩急車を改造した簡易なものです。)

このドラマでは、捨て子だった主人公の萌が駅長の次郎に拾われ、この駅を舞台にすくすくと成長していきます。

同年5月からは、ドラマを機に復元されたSL(C11 171号機)による「SLすずらん号」が運行を開始し、全国からファンが集まりました。残念ながら、この運行は平成18年(2006年)を最後に惜しまれつつ終了しています。
 
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さて、運行最終日。
セレモニーの開始が近づくにつれ、地元の方々のみならず、多くの鉄道ファンが駆けつけ、いつもは静かな駅前が、にわかに賑わいを見せていました。
 
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お別れセレモニーでは、沼田町の横山町長から、「廃線となることは、悔しく言いようのない寂しさが募り、この地で育ててもらった一人として存続ができなかったことに、(沿線住民の皆さまに対して)心からお詫びを申し上げる」とご挨拶がありました。
ふと見上げると、春の青空に白い雲がたなびき…何だか、寂寥の念がいっそうかきたてられます。
 
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ホームはこのとおり、黒山の人だかり!みなさん、カメラを手に留萌行きの下り列車を待ち構えます。

「ああ、間に合った…」
御年配の女性が役場の職員に案内されてホームに現れ、安堵の表情を浮かべていたのが印象的でした。
 
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列車がホームに滑り込んでくると、一斉にカメラでパシャパシャ!
そして、恵比島駅に降り立つ人に、乗り込んでいく人…行き交う多くの人の姿もそこにはありました。

深川駅長の合図により、地元有志の吹奏楽団が演奏する「銀河鉄道999」のテーマに乗せて、いよいよ列車がゆっくりと走り出します。大勢の人が走り去っていく列車を、見えなくなるまで見守っていました。
 
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この日の夜。最終列車では、ペンライトを振って最後のお見送りが行われました。
これが、この線路を走る本当に、本当に最後の列車でした。

道内ではこの10年間の間にいくつもの鉄路が廃止となりましたが、いずれの場合も、バスなどの違う手段に転換して地域の足を守るため、JRにとっても地域にとっても苦渋の決断でありました。

北海道鉄道活性化協議会では、「みんなで乗れば、未来が変わる」をキーワードに、公共交通の利用を促進する取組を展開しています。

鉄路を守っていくために、まずは私たちが「乗る」ことが大切です。
ぜひ協議会ホームページ(https://www.hokkaido-rail-k.jp/)をご覧ください。
そして、鉄道に乗ってお出かけしてみませんか。
 

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