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【ソラチコーヒー 13杯目】 “違い”がわかる男のソラチコーヒー!?

おいしいコーヒーのある日々を通じて、空知の魅力をゆる~く発信するソラチコーヒー。ちょっぴりご無沙汰している間に、ここ空知でも猛暑日を記録した夏が過ぎ、秋のさわやかさを感じる季節となりました。今年の夏は「北海道なのに暑いあつい」と過ごしていましたが、つい半年前まで、2メートル以上の積雪に見舞われていたこと…覚えていますよね?
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四季が明確な北海道の中にあっても、空知は季節の移ろいをより感じられる場所…例えば同じ風景でも、夏と冬とは全然ちがった表情を楽しめます。
そう考えると、豪雪でも、猛暑でも、季節と一緒に違った味わいのいろんなコーヒーを楽しめる機会に恵まれているんだと思えてきます。
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1980年代だったでしょうか。ネ○カフェ・○ールドブレンドのCMで『違いのわかる男』というシリーズがありましたよね。子どもの頃の筆者は、「大人になると違いがわかるようになるんだ」と納得して、砂糖とミルクをたっぷり入れたインスタントコーヒーを本当のコーヒーだと思って飲んでいました。
…さて、大人になってからだいぶ時間が経ちましたが、自分は果たして違いのわかる男になれたのかどうか?今回のソラチコーヒーは、“違い”を楽しむコーヒーを考えてみます。

ホットとアイスの違いを楽しむ

今年のような猛暑日が続いたら、やっぱりホットよりアイスが飲みたくなりますよね。夏になるとアイス専用のコーヒーと謳う豆やコーヒーバッグを見かけますが、この「アイス専用」って何が違うのでしょうか?
そこで【ソラチコーヒー 6杯目】でも紹介した、岩見沢駅前のESPRESSO STAND PLATS(プラッツ)さんの期間限定のコールドブリュー用のコーヒーバッグを使って違いを確かめてみます。
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最近、カフェのメニューでもよく見かける「コールドブリューコーヒー」。アイスコーヒーの一種ではありますが、普通のアイスコーヒーと抽出方法に違いがあります。
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でも、コーヒー豆自体はアイス用に特別に栽培されたというわけではありません。一般的なアイスコーヒーのほうが、氷で薄まることを想定して濃いめに抽出するため、深煎りの焙煎が多い傾向にありますが、アイスコーヒー豆はアイスコーヒー専用ではなく、同じコーヒー豆に変わりありません。
違いを楽しむ今回、このコールドブリュー用をホットとアイス、そしてコーヒー業界で密かに話題のあの方法でも淹れてみることにしました。

 
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まず、水出しです。作るのはとても簡単で、コーヒバッグをポットに入れてから、適量の水を注いで、24時間冷蔵庫で冷やします。水出しの麦茶と全く同じですね。これで、ゆっっっくりとスローな抽出がされます。
 
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続いてホットは、普通にペーパードリップしてみました。(いや、コーヒーバッグ破っているし、全然普通じゃない。)
 
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カップは違いますが、お湯で淹れたため明らかにホットのほうが色は濃く出ていますね。
ホットは、香り、苦みが際立つコーヒーらしい味でした。きっとカフェインも多めに出ていると思います。水出し用をホットで淹れるとより濃さが際立ちますが、キリっと頭を冴えわたらせたいときにはいい刺激かもしれません。
続いてコールドブリューのほうは苦みは少なく、さわやかな酸味と甘みも感じます。雑味がないクリアな味わいですので、水そのもののおいしさが際立ちます。今回は長沼町の馬追の名水を使いましたが、のど越しもいいのでゴクゴクといけました。水を変えて、味の違いを楽しむこともできそうです。空知管内には、小林酒造(栗山町)や金滴酒造(新十津川町)といった酒蔵もありますので、日本酒の仕込水でコールドブリューを淹れたらどんな味になるのか試してみたいと思いました。

 

同じコーヒー豆を使っても感じる味が違う!

さて、ホットとアイスの違いですが、人間の味覚は、冷たいものに関しては「苦み」を弱く感じ、「酸味」を強く感じやすい傾向があるそうです。そのため、同じコーヒー豆を使って淹れたコーヒーでもアイスとホットでは味わいが違ってくるのです。
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例えばホットで淹れると、苦みと酸味のバランスがちょうどよくて飲みやすくても、アイスで淹れた場合、苦みが抑えられる分、酸味が強すぎると感じることも。だから、アイス用は深煎りで苦み多めのコーヒー豆が多いのですね。
 
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そして、話題のあの方法で淹れてみたのは…水の代わりに牛乳でアイスコーヒーをつくる、ミルクブリューコーヒーです。コーヒーバッグをドボンと牛乳に入れて24時間、見た目はミルク多めのコーヒー牛乳ですが、水が入っていないため、とっても濃い大人のコーヒー牛乳ができますよー。また、ミルクがマイルドに抽出してくれるので、豆の持つ甘さがうまく出ていると思います。
これは風呂上りに腰に手を当ててゴクゴク…向きではありませんのでご注意を!水分が多めなもの、例えばプリンやコーヒーゼリーなどに合うと思います。

 

次は焙煎の違いを楽しむ

同じコーヒー生豆を使っていても、焙煎の度合いで味わいはずいぶん違うそうです。
【ソラチコーヒー 11杯目】でも紹介した「自分焙煎」用の器具を使い、同じコーヒー豆でも「浅煎り」と「深煎り」でどう違うのか確かめてみました。
それぞれの焙煎の様子は割愛しますが、自分で焙煎してみると、浅煎りも深煎りも、どこで焙煎を終えるのかのタイミングがとても難しいことが分かりました。
特に深煎りは、黒焦げの恐怖との闘いの中で、ギリギリまで深く火を入れられるかの加減が、やはり職人技なのです。「焙煎家」の中でもレジェンドとか、コーヒーの神様と呼ばれる方がいるのも納得です。

なんちゃっておうち焙煎家!?の深煎りは、これくらいが限界でした。
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カラメルのように苦みと甘みのバランスが絶妙な深煎りの名店の豆は、表面がツヤツヤ黒光りして、油ギッシュな感じです。このオイル分は豆全体を覆い、酸化防止の効果もあるそうです。その域に達するにはまだまだ修行が必要ですね。

では、浅煎りと比較しながら、淹れてみます。
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豆、粉、コーヒー、どれも浅煎りは深煎りに比べて薄めの褐色で、紅茶を思わせるほどです。
筆者は1杯分ずつ手回しのコーヒーミルを使って豆から粉に挽いていますが、浅煎りは乾燥された生豆に近い状態なので、硬くて回すのにとても力が要ります。一方で深煎りは、豆全体に火が通っているので脆くなっていて、軽い力でさくさく回せます。
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一見アナログで面倒くさい手回しミルですが、コーヒー豆の状態を自分の手の感覚で感じ取ることができ、挽く過程も楽しむことができます。また、コンパクトなので収納しやすかったり、持ち運びやすいのでアウトドアで挽きたてのコーヒーを楽しめたりと、なかなか便利に使っています。空知の季節を感じながら、外で飲むコーヒーは格別ですよ~。

今回の自分焙煎は、グアテマラ産とブラジル産の生豆をブレンドしましたが、コーヒ豆は湿気を嫌うため、冷涼で乾燥した気候が焙煎に適しているといわれています。空知管内・沼田町の雪室で低温貯蔵した生豆を使った「雪町コーヒー」は、酸味や苦みがやわらぎ、コーヒー本来の甘さが引き立つマイルドな風味が自慢です。
空知のいろんなところで、いろんな環境で貯蔵したコーヒ豆を使って、味の違いを飲み比べてみるというのも、ソラチコーヒー流の楽しみ方ではないでしょうか。

ヴィンテージの違い!?を楽しむ(番外編)

コーヒー以外でも空知で違いを楽しむことができるのが、近年注目されているそらちワインです。同じワイナリーでも、斜面の向きや日当たり、風向きなど、ぶどう畑の環境の違いで微妙に味わいにも変化があると聞きます。
ワインの醸造には水を一切加えないので、その場所の気候・風土、そして風景そのものが味わいに影響するといわれています。
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コーヒーからは離れますが、意外とコーヒーと共通点も多いワインで違いを楽しむ一例を、番外編として紹介します。

きっかけは、近所のスーパーのワイン売り場に並んでいた、浦臼町産のぶどうを使った鶴沼ワイナリーの白ワインでした。
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同じそらちワイン…鶴沼収穫の同じぶどうの白ワインなのに、ヴィンテージ(=収穫年)が違うだけで、
2017は「やや甘口」
2018は「やや辛口」!?
ミュスカとはマスカットのことで、一般的には2017のように甘めのワインというイメージがありました。この2017ミュスカはジャパンワインコンペティション2019で銀賞を受賞した逸品です。
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ミュスカ2018はハーフボトルだったので、この2本は少し離れた場所にありました。どれにしようか選んでいて、この謎に気づき、「えっ、あれっ」と両者を二度見、三度見。
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「これは誤植?いやそんなはずはないよね。」とミュスカの謎は深まりましたが、いっそのこと飲み比べてみようということで、2本セットで購入!

~ミュスカの謎を解く~

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さて、この2本、違いを楽しんでみましょう!
同じ条件で冷やして、グラスに注いでみました。
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やや甘口の2017より、やや辛口の2018のほうが色が濃いことが分かりますね。味も確かに甘口と辛口になっていました。甘口のほうはよりマスカット感が強くふわっと甘みが広がり、辛口のほうは、それよりも柑橘系のさわやかな酸味がシャープに前に出ているように感じました。アスパラなど空知の野菜とともに辛口、そしてメロンなど空知のフルーツと一緒に甘口なんてマリアージュもアリかもしれません。

うーん、たしかに言う通りなのですが、なぜ同じ畑の同じぶどうを使っているのに、正反対の味に仕上がるのでしょうか?
甘口ワインと辛口ワインの違いは、「残糖度」によります。ワインは、醸造過程でアルコールを発生させるために、ぶどう果汁にワイン酵母を加えます。その酵母が、果汁に含まれる糖分をアルコールと二酸化炭素に変化させることで発酵しワインになります。糖分を残さずにすべてアルコールにしてしまえば、アルコール度数が高い辛口ワインとなり、発酵を途中でとめて糖分を残せば、アルコール度数が低い甘口のワインになります。
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白ワインは、果汁の香りを抽出するために、発酵温度を赤ワインよりも低めに設定しているので、発酵が止まりやすく、甘口のワインが生まれやすいんです。
同じぶどうからでも、発酵のコントロールにより甘口も辛口もできるんですね。
その年のぶどうに最適な味わいとなるよう、熟練の技で発酵をきめ細かく調整しているんですね。ワインでいうこの醸造の過程が、コーヒーにおける「焙煎」であり、生豆の「貯蔵・熟成」であり、ドリップ、水出し、エスプレッソといった「抽出方法」の違いでもあると思えてきませんか♪
ワインと違う点は、コーヒーは、違いを自分で気軽につくれるところではないでしょうか。
ということでミュスカの謎は解けました(笑)。

お気に入りのコーヒー豆を、いろんな淹れ方で楽しむ―それもソラチコーヒー
まるでワインをテイスティングするように、コーヒーの味わいも淹れ方次第で大きく変化します。自分好みのソラチコーヒーを片手に、空知の四季を楽しむことができたなら…「違いのわかる男」にちょっぴり近づけるような気がします。

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