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花の百名山「夕張岳」に登ってみた♪

自称「そらち応援隊」の私。現在、稚内在住。稚内山岳会の仲間と、7月の3連休に夕張岳に登ってきました。なぜわざわざ稚内から約260kmも離れた夕張岳を選んだのかというと…
 

夕張岳の魅力

夕張岳は北海道の中央部を南北に走る夕張山地の南に位置する山。標高1667.8mの夕張岳には600種を超える植物が生息し、北海道の山岳でみられる高山植物のほぼ全てをみることができるからです。

また夕張岳は、花の百名山、日本二百名山、北海道百名山に選ばれており、花のシーズンには全国から登山者が訪れます。

アイヌの人々は、夕張岳のことを「神の山」と呼んで崇めていたそうですよ~。
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夕張岳の地形・地質

夕張岳は、大雪山などの火山のように噴火でできたものではなく、地殻の大規模な運動によって盛り上がってできたものです。
夕張岳の地形の最大の特徴である「
蛇紋岩メランジュ」とは、蛇紋岩中に様々な種類や大きさ・形の岩塊が点在する珍しい地質現象であり、高山植物とともに天然記念物の指定を受けています。柔らかい蛇紋岩は浸食作用によってなだらかな平原を作りましたが、緑色片岩からなるガマ岩や釣鐘岩、夕張岳本峰は固いのであまり浸食されず、平原上に突き出て残る「ノッカー地形」を作り出しています。

(夕張岳自然ガイドマップ ユウパリコザクラの会発行 から引用)
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夕張岳ヒュッテを目指して出発

稚内を8時に出発して、オロロンラインをひた走り、深川留萌自動車道から道央自動車道に入り、三笠で高速を降りて、三笠の道の駅に14時に到着。ランチと買物を済ませてから、夕張岳ヒュッテを目指します。

三笠高校生レストランの前を通り、嵩上げ工事中の桂沢湖に目が釘付けになり、桂沢ダムを渡る国道452号線に入ります。三笠の旧奔別炭鉱立坑櫓を過ぎ、夕張岳の看板がある白銀橋を渡ると…幻想的な風景のシューパロ湖がキレイ~♪
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白銀橋を渡ると、ペンケモユーパロ川沿いの鹿島林道に入ります。国道から約4.7kmでゲートがあり、例年6月下旬~9月下旬通行可能です。

ここからは未舗装路。道幅も狭くなります。「対向車が来ませんように…」とドキドキすること約8.7km。林道終点ゲートに駐車し、入林届を書きました。
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林道終点からヒュッテまで徒歩で荷物を運びます。

ヒュッテまで約20分と聞いていましたが、なかなかキツイ登り(´;ω;`) 今回の山行メンバーの平均年齢は67歳、最高年齢は79歳です。調理用具や今晩の鍋の食材など共同装備+個人装備を抱え、ゼエゼエ言いながら登って行きます。

10分ほど登ると道が二手に分かれます。右の冷水コースは割と平均的な傾斜が続き、途中には水場もあります。左を行くと、夕張岳ヒュッテを経由する馬の背コースで、アップダウンのある尾根道となります。少しでもラクに登りたい方には冷水コース、物足りない強者には馬の背コースをオススメします。

私は登りを冷水コース、下りを馬の背コースにしました。
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夕張岳ヒュッテに到着

ようやく赤い屋根のヒュッテが見えてきて、ホッ。
このヒュッテは避難小屋でもあり、100名程度まで泊まることができます。基本的に予約不要ですが、ヒュッテのスタッフさんによると「なるべく予約していただきたい」とのことでした。

そしてなんと!ここでは五右衛門風呂に入ることができました。

このヒュッテは「ユウパリコザクラの会」の方々が運営されており、夕張岳自然ガイドマップや夕張岳に咲く花々のパンフレット、ピンバッチなどの販売も行っていますので、ぜひご利用ください。
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ヒュッテのテラスで一息ついていると、キタキツネやエゾリスが遊びに来てくれました。エゾシカ、アライグマ、テンも出没するそうです。

昨年のお盆にはヒュッテの近くにヒグマが出たそうです。確かにヒグマは近くにいるようですが、山の中には食べ物が豊富にあるせいか、今までに事故は起きていないそうです。登山に鈴は必須アイテムですし、食べ残しやごみは絶対に捨てないでくださいね

さて、そうこうしているうちにお待ちかねの夕食タイム!お皿やコップ、包丁などはヒュッテからお借りしましたが、ガス調理器具や食材等は持参が必要です。稚内山岳会は、食事が豪華なのです!今日の夕飯メニューは、豚汁と鍋♪ヒイヒイ言いながら、林道終点からヒュッテまで荷物を運んだかいがありました。三笠道の駅で購入した白川とうふ店さんのお豆腐がとっても美味しかったです。

ちなみに、ヒュッテの宿泊者は、6~7割が道外からの登山客だそうです。登山ツアーの団体客を率いるガイドさんや、神戸からの登山客、函館から職場の山好きメンバーで登りに来たという団体の皆様とお話して、情報交換しました。

アルコールを片手に、知らない人と山について語り合えるのもヒュッテの魅力の一つです♪ヒュッテは21時に消灯しますが、全く問題ありません。なぜなら、登山者の朝は早いのです。。。
 

いざ、出発!

翌朝、4時起床、ササッと朝食を頂き、5時に出発。一度ヒュッテから、冷水コースとの分岐まで下り、登山のカウンターを押して、さあ、出発。

しばらくは傾斜の緩やかな造材道です。1kmほどで山道らしくなり、やや傾斜が増していきます。ほどなく最初の水場「冷水の沢」に到着。水が冷たく、顔を洗って、気分一新。それから10分ほど登ると水量の少ない前岳ノ沢に到着。しばらく行くと、尾根上に出て、馬ノ背コースとの合流地点に6時30分到着。

登りがきつくなり、樹々の間から、前岳の岩が迫ってきます。前岳の山裾に沿うように左にトラバースしていく。ロープが張られているものの、傾斜が厳しく、ゼーゼー息が切れます…
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しばらく行くと望岳台に7時に到着。前岳から滝ノ沢岳に延びる尾根を乗り越える地点にあたり、望岳台の名前のとおり、素晴らしい展望です。この望岳台は、頂上まで3.6km、登山道入口まで3.5kmなので、だいたい半分の行程まで来ました。
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シラネアオイの群生地である石原平に到着しましたが…ほとんど咲いていませんでした。満開期は5月中旬~6月なので当然ですね。でも、たまたま登山道に咲いていたシラネアオイを発見しました♪
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前岳をぐるっと回りこむように進むと、だんだん夕張岳の顔が見えてきます。憩沢の近くには、雪渓がまだ残っていました。
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シナノキンバイソウを見つけました。

夕張岳ヒュッテのスタッフさんのお話では、

「シナノキンバイソウは鹿の大好物。食害により、どんどん数が減っているが、どれくらい被害が拡大しているかの把握が難しい」とのことでした。出会うことが希少となってきているシナノキンバイソウですが、鹿が行きづらい岩場には、まだまだ生えているんですね~。

鹿よ、キミはわざわざ登山してまで、美味しいシナノキンバイソウを食べたいのか。登山しなくても植物は沢山生えているじゃないか…。
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憩沢から緩い登りとなり、木道が敷かれて、歩きやすい前岳湿原に到着。ガスっていて、幻想的な風景になっていますね。
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道は、ハイマツや灌木の中を歩き、ガマ岩が近付き、高山植物が目立ってきます。
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湿原の象徴ともいえるシロウマアサツキは鹿が嫌いなので、食害の被害に遭わず、群落を楽しむことが出来るとヒュッテのスタッフさんに教えて頂きました。
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小さなヒョウタン池を横目に進むと、蛇紋岩崩壊地に到着。

蛇紋岩はマグネシウムを大量に含み、クロムやニッケルなどの重金属を含むことから「超塩基性岩」とも呼ばれています。植物にとっての栄養が非常に少ないことから、普通の植物は生息できない環境となっており、その厳しい環境に耐えることができるわずかな植物の生育地となっています。
(夕張岳自然ガイドマップ ユウパリコザクラの会発行 から引用)

いわば蛇紋岩のおかげで、貴重な植物が生息し、私たちはその姿を楽しむことができるのですね。蛇紋岩、ありがとう!

崩れやすい地質と貴重な植生を守るためにロープが張られているので、くれぐれもロープの外に出ないようにお願いします。足跡があるとついその先に何があるのか、気になってしまいます。残念ながら、ユウバリソウは枯れていました。

いよいよ夕張岳のハイライト、吹き通しに8時43分に到着しました。いよいよ頂上は目の前♪
 
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ところが、ここからの登りがキツイです。割と平坦な木道を歩いてきましたが、簡単には登頂させてはくれません。お花を探しながら、眺望を楽しみながら、ゼエゼエと登って行きます。ようやく登りきると夕張岳山頂神社があり、またその一段上が頂上です。

登ったどー♪

9時15分に登頂。登りは4時間15分かかりました。夕張岳自然ガイドマップには登り約4時間30分と書いてありましたので、平均的なタイムでした。

頂上からの眺めはこちらです!夕張山地や日高山脈に加え、大雪山系や石狩平野など大パノラマが楽しめます。よく晴れた日には、石狩湾の日本海と太平洋とどちらも見えるそうです。今回はガスってしまい、残念。

山頂でご一緒させていただいた方々の中に、明日、芦別岳に登山するという方が2組いました。道外から来た方々は、せっかくなので、夕張岳と芦別岳をセットで登るという方が多いです。芦別岳の登りはコースタイムが7時間で上級者向けですから、夕張岳よりも険しいですね…
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下りの馬の背コースに泣かされる

山に登ったら、下らなければなりません。登りでほぼ体力を使い果たした運動不足の私にとっては、ここからがむしろ正念場。

稚内山岳会には、「下りの田中」とあだ名がつく、下りが得意な田中先輩がいます。今回は野口先輩が先頭に立ち、3人でぐんぐんと下って行きます。

望岳台まで一気に下りました。11時10分に望岳台で休憩して、下りは馬の背コースを選択することにしました。冷水コースとの分岐を直進して、尾根伝いを下ります。小さなコブを越え、ガクガクした膝をなだめながら厳しい下りをそろそろと進みます。

木が倒れていて、下をくぐろうとするとリュックが引っ掛かり…ヨロヨロと木に登り、乗り越えます。ヘロヘロになった私を簡単には通してくれないのです。

傾斜の厳しい下り道。気持ちはぐんぐん下って行くのですが、先を行く2人の姿は完全に見えなくなり…方針転換。のんびり行くことに…

既に紅葉が始まり、葉が赤くなっている木を発見。沢の音が聞こえてくると、ようやくヒュッテの赤い屋根が見えてきました。12時30分にヒュッテに到着。

稚内山岳会の最高齢79歳を含めた先輩達は、15時45分に到着。10時間45分かけて、最後まで諦めず、誰の力も借りずにご自身で登山された先輩達を拍手でお迎えしました。はたして私は30数年後も登山をしているのでしょうか。

ヒュッテで休んでいたところ、栗山町からいらした男性3人組が馬の背コースを下りてきました。3人組のうちの1人は激しい下りの途中でバランスを崩し、登山道から外れて転落しかけたところ、熊笹を掴み、なんとか踏みとどまったそうです。先頭を歩いていた人は突然「ドサッ」と音がしたので、熊が出たと思ったとか…。

馬の背コースは時間が稼げますが、勾配がキツイですから、くれぐれもお気をつけください!

夕張岳ヒュッテにもう一泊し、翌日は三笠天然温泉 太古の湯にゆっくりつかって、三笠の道の駅でお買い物+ランチを楽しんだ後、稚内への帰路につきました。

山全体が天然記念物であり、花の百名山、日本二百名山、北海道百名山である夕張岳に、あなたも登山してみませんか?

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