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【ソラチコーヒー 12杯目?!】 “空知しょうゆ” でソラチコーヒー

おいしいコーヒーのある日々を通じて、空知の魅力をゆる~く発信するソラチコーヒー。
本州では、今年はずいぶん早く梅雨入りしているようですが、梅雨のない北海道は初夏のさわやかな季節!グルメも花もアクティビティも魅力満載の空知に是非お越しに…と言いたいところなんですが、今はもう少し我慢の時。空知を想い、おうちで楽しむソラチコーヒーとします。
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今回のソラチコーヒーですが、先に言っておきますが、ほとんどコーヒーの話は出てきません。その代わり、なぜか「しょうゆ」が登場します。しかも、自分で作った手作りマイしょうゆです。前回は自分焙煎のコーヒーに挑戦しましたが(【ソラチコーヒー11杯目】)、コーヒーの焙煎は手作業でやってもせいぜい30分もあればできます。しかし、しょうゆは1年かかります。
そう、これはさかのぼること1年前の仕込みから始まる、空知しょうゆづくりの壮大な!?プロジェクトです。

手づくりしょうゆ体験キット

前回の自分焙煎のときも「初めて焙煎スターターキット」を活用しましたが、この手のビギナー向けのキットの充実度は、我が国は間違いなく世界No1でしょう。
今回は、日本のしょうゆ発祥の地、和歌山県有田郡湯浅町にある湯浅醤油さんの「手づくりしょうゆ体験キット」を使って作ります。キットの中には、しょうゆの原料となる大豆、こうじ、塩があらかじめ適量ブレンドされていて、これと水を混ぜ合わせるだけで、醤油の元となる「もろみ」を仕込むことができます。
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この和歌山県の湯浅町は、実は空知とも意外なご縁があります。
平成29年の4月に「『最初の一滴』醤油醸造の発祥の地 紀州湯浅」として、日本遺産に認定され、しょうゆの醸造で栄えた町並みや醸造用具などの文化財といった歴史と伝統を未来につなげていく取組を進めています。
日本遺産としては、空知を舞台とした『炭鉄港』の先輩にあたりますね。そんな繋がりも感じながら、空知しょうゆを仕込みましょう!

でもなぜ、コーヒーの記事でしょうゆ???

なぜ、「しょうゆ」なのか聞きたくなりますよね。理由は3つあります。
【理由1】色が似ている
だれもが分かるビジュアル面の類似点ですが、嗅覚を使わなければコーヒーカップにしょうゆを入れても、コーヒーと間違える方も多いのでは?真っ黒じゃなく、濃い褐色というところも結構似ているんですよね。
【理由2】記念日が同じ10月1日
1883年に全日本コーヒー協会によって10月1日を「コーヒーの日」と定められました。
国際協定によってコーヒーの新年度が始まるのが10月で、これは全世界の30%の生産量を占めるブラジルのコーヒー豆の収穫サイクルに合わされているそうです。さらに日本では秋冬期にコーヒーの需要が高くなることも10月にした理由だそうです。
一方、「醤油の日」も10月1日となっています。昔の日本では、10月は収穫した農作物を貯蔵・加工して冬に備える時期で、しょうゆづくりも、新大豆を原料にしてこの時期にもろみを仕込むなど、10月が醸造にきわめて関係の深い月であることから、2001年に醤油業界により定められたそうです。
どちらの記念日も原材料となる農産物の収穫という、自然の営みに由来するところに、偶然の一致とは思えない面白さがありますよね。
【理由3】どちらもドリップ!?します。
コーヒーの淹れ方のうちペーパードリップは最も一般的な方法ですが、今回の手づくりしょうゆも、最後にもろみを搾ってしょうゆを取り出す際、なんとペーパードリップを使うんです!
 
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色もコーヒーそのものだし、これはまさに、しょうゆ界のコーヒーだ?!
この説明書を見た瞬間、しょうゆづくりには、ソラチコーヒー流の楽しみがある!とひらめきました。
 

ろみを仕込みて…

時はさかのぼること去年の5月末になります。空知しょうゆづくりの第一歩として、もろみを仕込みます。空知しょうゆを謳うからには、水にもこだわりたかったのですが、当時の筆者はまだ空知歴が浅く、管内の名水スポットを熟知していませんでした。そこで、岩見沢駅構内の自販機で手に入るこんな名水を使うことにしました。
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大雪山系旭岳の源水です。でもこれ、結果的には空知しょうゆの仕込水としては及第点でした。空知管内の石狩平野を縦走し、空知の恵みの源である石狩川にそそぐ源水の一つですから、空知に大いにゆかりのある水と言えますよね。
それでは仕込みに入りましょう。別に用意した500mlのペットボトルに、体験キットに入っていた「塩切り醤油こうじ」(=大豆と麹(麦麹)と塩をよく混ぜたもの)を入れてから仕込水200mlを加えます。
 
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このあと、これをシェイク(かくはん)して、発酵・熟成を促します。
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ペットボトルを強く振りすぎると、大豆や小麦が割れてつぶれてしまうので、振りすぎないように注意します。これは、今後の発酵・熟成過程においても同様で、とにかくやさしく振ります。そういえば、醤油づくりの醸造元の映像などでも、大きな木樽の中を、ゆっくりと大きなしゃもじみたいのでかき混ぜる職人さんの様子、見たことありますよね。
 
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ということで、手作りしょうゆキットのおかげで仕込みはとても簡単にできました。
大豆と麦麹とが混ざった様子は、濁ったみそ汁のような見た目になっています。
この後、麹のチカラでどんどん発酵が進んでいきますので、その過程の一部を振り返ります。

熟成&もろみ旅

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仕込みから1週間は、毎日ペットボトルをかくはんして、麹を隅々まで行きわたらせて活発に活動するよう促しました。
そして1週間目以降は、かくはんを1日おきにして麹に仕事をしてもらいます。この頃から、ペットボトルの中では、もろみの発酵が始まり、上部に泡のようなものが見え始めました。

 
2週目になると、色も褐色が濃くなったように感じます。もろみは生き物なので呼吸をしています。この頃になると、ガスが発生するので、ペットボトルのふたをテープで強化して、ふたが飛んで爆発しないようにしつつ、時々ガスを抜きして、新鮮な空気を入れるようにしました。ガスを抜いてもすぐにペットボトルがパンパンになるくらいもろみの発酵のチカラは凄いんです!

 
3~4週目になると、ペットボトルの下部に醤油のように液体がたまり始めます。かくはんも3日に1回に控え、発酵を促します。まだまだ発酵し続けていますので、ガス抜きと空気の入れ替えが必要です。常温発酵なので、家の玄関に置いて、毎日、出勤前にもろみに「行ってきます」と言うのが習慣になりました!?。

 
2か月目くらいになると、発酵も落ち着くとともに、大豆の原型もわからないくらいもろみがなめらかになってくるのが分かります。
そして、初夏に始めたしょうゆづくりも、盛夏8月になりました。一時はペットボトルが壊れて、玄関がもろみだらけになるんじゃないかと心配しましたが、発酵も安定してきました。
秋の入口から冬、そして春にかけては、空知しょうゆづくりのために、空知の空気をたくさん吸ってもらうよう、空知のいろんなところにもろみと一緒に旅をしました。

 
時にはさわやかな秋空の下、時には空知の歴史を感じる場所で、とにかく雪が多かった昨シーズンの空知では冬の晴れ間のひとときに、そして時には空知のカフェ巡りとともに…空知のいろんな魅力を探しながら、もろみにもたっぷり空知の空気を吸わせました。
コロナ禍になって、マイクロツーリズムが注目されてきてるけど、これはもう世界初のもろみツーリズムです。

 

最後はドリップ作戦です。

そして季節は巡り2021年初夏。仕込みから丸1年、5月になりました。
「空知しょうゆ」の熟成は順調に進み、念願の初搾りをします!
まるでコーヒーを淹れるように、ドリッパーをセットして、恐るおそるもろみを注ぎます。
 
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いやぁ~、これがやりたかった。
予想はしていたのですが、もろみは結構ドロッとしているので、しょうゆを搾り出すには相当の時間がかかります。でも、これまでの空知しょうゆづくりも1年かけたスローな営みでしたので、その時間を振り返るように、ゆっくりポタポタたまっていくのを眺めます。まさに北海道・空知に流れるスローなリズムです。
 
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小さなグラスに5ミリくらい溜まるのに、1時間くらいポタポタやっていました。
でも、香ばしいしょうゆの香りが部屋中に充満して、まるで醤油カフェ?!に来たようです。香りで楽しめる点もなんとなくコーヒーに通ずるものがありますね。

 
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そして、小皿に一人分くらいの空知しょうゆを搾ることができました。
隣にチラ見えしているのが、比較対象で置いた九州産の甘口さしみ醤油。これはいわゆる「こいくちしょうゆ」ですので、熟成期間は2~3年、コーヒーでいうと深煎りといったところでしょうか。これと比べると、この空知しょうゆは、色味もとろみもまだまだ若い感じです。ただ、若い分、香りは豊かに感じます。

定番のアレにつけて

それでは搾りたての空知しょうゆを、試してみたいと思います。
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しょうゆと言えば、お刺身とかまぼこ!
お刺身は鯛を、かまぼこは季節限定の枝豆かまぼこにしてみました。
搾りたての香りを楽しみながら、しょっぱくなく、味はマイルド!?フルーティー!?で、鯛はカルパッチョを食べているような味になりました。かまぼこのほうも、枝豆の風味を壊さない控えめな塩気となり、こちらも美味!

そして、禁断のコレもやってみました。
 
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アイスクリームにかけると甘みが増すとよく聞きますが、プリンにかけても、ぱっと見カラメルぽくて違和感ないし、甘辛さもクセになりそうです。

ひと雫に、この1年間のたくさんの想いがつまった空知しょうゆ、美味しくいただきました。


空知の空気をいっぱい吸ったマイしょうゆを、まるでコーヒーをドリップするように搾って味わう―それもソラチコーヒー
空を流れる雲のようにゆったり時間をかけて、ひと雫の中に凝縮した想いを楽しむこともソラチコーヒー流と言えるんじゃないかと思います。
この1年余りで、私たちの生活は大きく変貌してしまいましたが、変化の激しい新たな時代だからこそ、ふと足を止めて空知を想うひとときを大切にしていきたいと思います。

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